世界文化遺産から読み解く世界史【第38回:戦争で破壊された町を復元――ワルシャワ】

ワルシャワ旧市街(縮小)

ワルシャワ旧市街


西洋的なポーランドの町並み

 ポーランドのクラクフは、第二次大戦での破壊を免れた都市です。11世紀から1611年にワルシャワに遷都されるまでの約600年間、ポーランドの首都でした。

 このクラクフという町は、歴代王の居城として建てられたヴァヴェル城がその発祥です。これはゴシックからバロックの様式がその増改築のときに取り入れられ、それが現在に残されています。

 町並みは広場を中心にその隣には聖マリア聖堂がつくられ、ゴシックの様式を残しています。そこにビザンチン的、スラブ的な要素は見られません。ここにポーランドがいかに西洋的な町並みを持っているかということがわかるのです。

 一方、ポーランドの首都ワルシャワは、第二次大戦のときに、ナチスによって完全に破壊されました。しかし、その当時の町並みが復元されているのです。その、14世紀のゴシック様式、あるいはルネサンス様式、ロココ様式をとどめた町並みを見ると、クラクフと同様、いかにこの町が、ヨーロッパのほうを向いていたかがわかるのです。

破壊された古い町並みを復元

 日本は、第二次大戦で焼け野原になった後は、新しい洋風建築や簡易住宅によって全く新しい家並みをつくりました。ビルもどんどん立ちました。

 ところがワルシャワは、第二次大戦で破壊された町並みを、破壊される前の18世紀後半の町並みのとおりに復元し、甦らせているのです。ポーランドの人たちが、いかに伝統と文化を大事にしているかがわかります。

 社会主義の時代は、それほど復元の成果は上がっていませんでした。しかし、社会主義の崩壊後、古い町並みを懸命に甦らせていて、それが、世界文化遺産になっているというところを、日本人も見習うべきだと思います。町並みの復元ということは、歴史とのつながりという意味でも、現代都市に必須のものであろうと思われます。


(出典/田中英道著『世界文化遺産から読み解く世界史』育鵬社)

【田中英道(たなか・ひでみち)】
東北大学名誉教授。日本国史学会代表。
著書に『日本の歴史 本当は何がすごいのか』『[増補]日本の文化 本当は何がすごいのか』『[増補]世界史の中の日本 本当は何がすごいのか』『日本史5つの法則』『日本の戦争 何が真実なのか』『聖徳太子 本当は何がすごいのか』『日本文化のすごさがわかる日本の美仏50選』『葛飾北斎 本当は何がすごいのか』ほか多数。

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