白河館まほろんが面白い①――開館16年で入館者50万人超えの歴史博物館の秘密

福島県文化財センター白河館(愛称:まほろん)の入口

 福島県の南部中央に位置し、栃木県と県境を接する白河市は、「東北の玄関口」と称される。この地に、歴史体験型博物館「まほろん」があり、正式名称は福島県文化財センター白河館、まほろんは愛称となる。

 このまほろんは、優れた良いところを意味する「まほろば」と、あこがれを満たす意味の「ロマン」を重ね合わせた言葉で、「歴史へのあこがれを満たすよいところ」を意味し、公募によって選ばれた。名は体を表すというが、その愛称にふさわしい歴史博物館である。

 アクセスは、東北自動車道白河ICから車で20分ほど、バスはJR白河駅や新白河駅から出ているが、本数が少ないようなので事前の確認が必要だ。

敷地面積は、東京ドームより一回り広い


まほろんの施設の全景(まほろんホームページ『要覧』より)

 田畑や林に囲まれた広大な敷地に、そのまほろんはある。敷地面積は5万1800㎡(約1万5700坪)、東京ドームの建築面積(投影面積)が4万6755㎡であるから、それより一回り広い。

 建物は、常設展示室などがある本館棟(約730坪)と、福島県内の遺跡で発掘された出土品を保管する収蔵庫棟(約910坪)がある。とりわけ、収蔵庫棟の一般収蔵庫は、幅33m、奥行き80mと大きく全国有数の規模であり、土器や石器などが遺跡ごとに箱に入れられ棚に整理・保管されている。その箱数は、既に5万箱を超えているという。

 また、建物前の広場には、体験学習館が設置されている一方、野外展示として縄文時代の家から室町時代の館まで、復元された7つの施設を見ることができる。

 このようにまほろんは、①出土品の保管・管理機能、②常設展や企画展、野外展示といった展示機能、③広場や体験学習館での体験学習機能……などを併せ持った歴史博物館である。

 基本構想は平成6(1994)年から着手され、その後、設計、用地取得、建築工事が行われ開館は7年後の平成13(2001)年7月。開館に至る事業費は、総額33億円という。

 初代館長は藤本強(ふじもと・つよし、1936~2010)、考古学者であり東京大学名誉教授。文化審議会世界文化遺産特別委員会委員長をつとめるなどした。館長は名誉職的な役割が強いが、月2回は勤務しその学識を慕う学芸員が多かったようである。残念なことに、平成22年9月に渡航先のドイツで急逝された。

 その後、平成23(2011)年3月に東日本大震災が発生し、まほろんも被災し1か月半ほど休館を余儀なくされたが、5月には再開。

 一方、被災の最中の4月に新館長に就任したのが菊池徹夫氏(1939~)。比較考古学者であり、早稲田大学名誉教授。日本考古学協会会長(2008~2012)をつとめた。著書には、『考古学の教室』(平凡社新書)、『はじめての考古学』(朝学選書)という考古学の入門書もあり、いずれの書籍も分かりやすく、前者は大人向け、後者は「朝日小学生新聞」に半年間連載したものをまとめており、小中学生にも適している。

 いずれの館長も、学識が豊かで人望も厚いようである。こうした館長の存在もあり、まほろんの入館者は開館16年の昨平成29年9月には累計50万人を超えた。その盛況の秘密は何なのか? 次回以降、探っていきたい。【②に続く】(文責=育鵬社編集部M)




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