丸山議員の「戦争」発言の影響2
糾弾決議
日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、ビザなし交流の訪問団として北方領土を訪れた際に発した「戦争」発言問題はまだ収まっていない。 というのも、彼の「戦争」発言以上に問題を大きくしているのは、酩酊しながら女性に対して侮辱する言葉をくり返したということで、同行した人物から次々と彼の発言を明らかにされたからだ。 野党にとっては、「戦争」と「女性」の二つの問題発言で議員辞職に追い込みたい構えだった。一方の与党自民党は、最初は一歩引いた様子を見せていたが、女性蔑視発言が報道されると状況は一変。自民党は野党とも歩調を合わ始めた。 結局、糾弾決議を衆議院本会議において与野党ともに全会一致で可決した。ただし、丸山議員は現時点では、辞職は否定している。 問題の発端である丸山議員の「戦争によってしか領土は帰ってこないのではないか」という発言については、当初から野党とマスコミは一斉に非難を繰り返した。 それは自民党の議員も同様で、丸山氏の発言の状況と発言内容を冷静に批判するということではなく、とにかく、手段として「戦争」という言葉を議員が口にしたことで、彼の人間性までも否定するような批判に変わり、丸山氏を議員辞職の追い込みたいという強力な力が働いているようにも見える。 閣僚でもないばかりか与党の議員でもない。国政に対しても外交に対してもほとんど影響力のないような若手議員への圧力のすさまじさはどうだろう。ロシア大使館への謝罪
一方で、日本維新の会の幹部がロシア大使館に謝罪に訪れたことを批判する意見も少なからずあった。 これは、日露間では、5月30日に外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)東京で行われることが決まっていたことから、外交問題への発展を懸念した日本維新の会が行動したのか定かではない。 その際に、政府にも事前に相談はするはずで、政府与党もロシア大使館への日本維新の会の謝罪を後押ししていたとも推察できる。 ロシア大使館への謝罪は、日本人の特徴である「忖度」が出たように見える。だが、外交におけるこういった対応は問題を鎮静化させないばかりか、むしろ相手側に利用されてしまうのが、現実というものだろう。 「日本の軍国主義化を懸念」という無用なレッテル張りを特定アジア諸国にされてしまうことを防ぎたいとの思惑もあったのか。ただ、影響力もない野党の若手議員が酔っぱらって暴言を吐いたことに対して、特定アジア諸国が反対の声を上げても、それがどれほど外交的に影響を与えることになるというのか。 平成22年5月に、ロシアの「対独戦勝記念日」にメドベージェフ大統領が「第二次世界大戦で結果が出ているのに、領土返還を求める敗戦国がいる。戦争で出た結果とは戦争でないと変わらない」と発言した。 このメドベージェフ大統領のとんでもない発言。日本の北方領土を強奪した国の大統領の、それも冷静で酒も入っていない状況での発言なのだ。 これに対して、日本は政府として抗議をしたか。わざわざ、抗議はしないというのが日本政府の従来の姿勢ではないか。 だが、言うべきときに言わず、言わなくてもよい時にいう、日本の間違った「忖度」が外交戦において劣勢に立たされてしまうのは子どもでも分かると思うのだが。 参考:『左翼老人』森口朗著(扶桑社新書)ハッシュタグ
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