中国建国70年目の岐路

天安門事件から30年

 6月4日は1989年に中国で起きた「天安門事件」から30年目にあたる。民主化運動を目指した若者を中心としたデモ隊に対して人民解放軍が発砲したため、多数の死者が出て、中国の民主化が潰えたという歴史的な事件である。  現在の中国では情報統制が徹底しており、中国国内ではネットで「天安門」を打ち込んでも解説が出てこないという。当然、学校教育においては、自国の不都合なことは教えないので、特に若い人は誰もこの事件を知らない。  あるいは、この事件を知っている世代も、天安門事件に対するインタヴューに対して答えることはない。  そんな中国の状況も含め、普段は中国に忖度する日本のマスコミが、6月4日を控えて、さまざまな切り口で「天安門事件」のニュースを伝えようとしていた。  特に興味深かったのは、日本に観光にきた中国人に対して、「天安門」の質問をした時だ。若い人は「全く知らない」とだけ答えるのだが、中高年になると、それまでの笑顔だった受け答えをやめ、黙って立ち去ろうとする人もいたのだ。  例え外国であっても、不用意な発言が映像に残ると、その映像がどう拡散するかわからないということを認識しているのだろう。つくづく共産党独裁国家の恐ろしさを感じてしまう。

米中の争いのなか、日本は…

 その数日前、5月下旬から、シンガポールではアジア安全保障会議が開催されていた。  今年から本格化した米中の貿易問題で、覇権争いを演じるアメリカと中国が顔を合わせた会議。中国国防相として2011年以来で出席した魏鳳和国務委員は、貿易問題に関して、「アメリカが戦いを望むなら受けて立つ。だが、中国は常に対話のドアは開いている」と述べた。  貿易問題に留まらず、会議の主題である安保問題においても、中国人民解放軍軍事科学院の何雷副院長は、他国からの南シナ海の軍事拠点化批判に対して、「「他国からの介入は受け入れられない」との反論をした。  中国の行動が「他国からの侵略を防ぐため」であるとし、自国の領土への軍隊派遣も兵器配備も可能であるとの主張を何雷氏は行った。  同会議では何雷氏の発言の数時間前、アメリカのマティス国防長官が、中国による南シナ海の軍事拠点化に対して、近隣諸国への威嚇だと批判しており、これに反応したかたちである。  その他、魏国防相は台湾との「統一」(彼の言葉では「再統一」)について、「武力行使を放棄せず」と話し、他国が人民解放軍を過小評価することが「極めて危険だ」との警告も発している。  中国とアメリカのシビアな貿易戦争が繰り広げられる中、南シナ海や台湾といった問題までが両国の主要問題として前面に出始めたのか。  大阪で開かれるG20を前に、トランプ大統領は中国に対する追加関税をG20の後にも決断すると発言した。中国への揺さぶりをかけるトランプを、相変わらず日本のマスコミは、稚拙な外交だと批判的に報じている。  これこそが貿易戦争の名を借りた米中の覇権争いだとは絶対言わないのがマスコミの姿勢なのだろう。 参考:『左翼老人』森口朗著(扶桑社新書)
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