日本を本当に豊かにするためのプロジェクト⑦

インフラ・イノベーションを通した国力回復

 つまり、失われた20年といわれる今日の日本経済、ひいては日本社会の長い停滞は、公共インフラの投資不足こそが最大の原因だったわけだ。この真実をもう少し詳しく論ずるなら、次のようになる。  90年のバブル崩壊によって、わが国には巨大な「需要不足」(デフレギャップ)が生じた。つまり、バブル崩壊によって需要という「経済活力」が一気に毀き 損したのである。  そして、この活力不足が存在する限り、経済成長はできなくなる。こうした現象は一般にデフレと言われる。  したがって、このデフレを終わらせるには、需要という活力を増進させ、需要不足(デフレギャップ)を埋めねばならない。  そしてそれを埋めるには、政府主導のインフラ投資を適材適所で、賢くかつ徹底的に進めることが必要不可欠だったのである。  そうした政府主導のインフラ投資が進めば、関連企業の消費・投資活動が活性化するのみならず、交通要所でのオフィス、工場、住宅の民間投資が着実に喚起されると同時に、物理的交通状況が改善されることを通して都市間の交流が活性化されたのだ。  諸外国はそうした取り組みを、着実に拡大させ、先進国ですら2倍から3倍にその投資水準を拡大し続けた中、わが国日本だけが、その投資水準を恐るべきことに半分以下に削減してしまったのである。  これでは、日本のマクロ経済の活力は停滞し、需要も供給も増進するはずはない。その結果、いったん日本に巣くったデフレという病はいつまで経っても完治することなく、日本を悩ませ続けているのである。

投資の再駆動

 もしもわが国が十分に賢明であるなら、この失われた20年を取り戻し、デフレを完全に脱却するためにも、わが国の国土というインフラをもう一度見つめなおし、わが国の繁栄に向けて国土をイノベートし続ける投資活動を再駆動する他ない。  そして、国土インフラのイノベーションを通して、わが国の産業、経済、社会、文化、文明を21世紀後半の未来に向けてイノベートさせんと企図するに違いない。  折りしも現安倍内閣は今、「地方創生回廊の形成」「国土強靭化」「デフレ完全脱却」に向けた「未来への投資」という政策方針を掲げている。  こうした政治的スローガンが単なる「空念仏」でなく、「実態」の伴ったインフラ・プロジェクトが展開されるなら、20年間の経済成長率世界最低という汚名を返上し、日本は「再生」することとなろう。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。
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