その働き方は幸せですか?日本人の勤勉というビョーキ

 先日来日した、ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領。“世界一貧しい大統領”として一躍名を馳せた氏が東京外国語大学で行った講演のテーマは、「日本人は本当に幸せですか」。

 どこか生きづらさを感じる昨今、多くの人がその言葉に共感している様子だ。特に、「富に執着するあまり絶望に駆られる人生を送ってほしくない」とのメッセージには、考えるところも多いのでは。

その働き方は幸せですか?日本人の勤勉というビョーキ 確かに高収入や立身出世を目標にせっせと働いてきたが、どうも行き詰まっているような気がしてならない。このままでは、“仕事の奴隷”になってしまいそうだ。では、一体どうすれば私たちは幸せになれるのだろうか。

ブラック企業を撲滅しても、幸せはやってこない


勤勉は美徳か? 幸福に働き、生きるヒント』(著:大内伸哉、法学者)は、労働法の見地からそんな現状を打開する手がかりを探っていく一冊。とは言うものの、労働法は何でも解決してくれる“魔法の杖”ではない。

現実に、「ブラック企業」の問題が新聞で大きく報道されることからもわかるように、労働法が遵守されていないことが労働者を不幸にしており、それへの対策はもちろん大切です。
 だからといって、労働法がきちんと遵守されていれば、労働者が幸福になれるとは限らないのです。
(はしがき ※改行、太字は編集部。以下同)

 つまり法の役目は、致命的な不幸を退けるまで。そこから先の幸福は労働者の主体性に委ねられるべきものだ、というのだ。

仕事の内側に入るということ、つまり仕事において自らの判断や創意工夫や裁量など、主体性を発揮できる範囲を広げて、自分なりの作品を作るという気持ちで仕事に臨むことができたならば、ずいぶんと状況が変わることになります。 (第1章 労働者が不幸となる原因を考える)

 「そう言われてもねぇ……」、と思う人も少なくないはず。“社畜”なる言葉が当り前の風土には、ちょっと爽やかすぎやしないか。

なぜ日本人は、休むことが後ろめたいのか


 だが、そもそも仕事を辛いと感じることに、どうして疑問を感じないのだろうか。これを当り前のように受け入れてしまう原因はどこにあるのか。そこから明らかにしていく必要がありそうだ。

 そこで浮かんでくるのが、「休み」について。

 どうして日本人は休もうとしないのだろう。なぜ休むと、「怠けていると思われるかも」と不安になってしまうのか。

 著者は、“天皇でさえも田植えをする日本固有の勤勉性”を認めながらも、江戸時代にはきちんと休む文化があったと指摘する。江戸時代も基本的には長時間労働だったが、それが終わればまとめて休暇を取っていたという。

 しかしながら、戦後の高度成長とその雇用モデルが、休みに対する見方を一変させてしまった。働けば働くだけ収入が増え、出世もできた時代が生み出したのは、「休むのはもったいない」 との価値観だった。

 ところが、バブルが弾けたあと、いまだに新たな成長モデルを描けずにいるのは周知の事実。だからこそ正社員の安定を望む声もある一方、昇進や昇給も得られないのに長時間労働や転勤を強いられて、仕事はますます「辛い」ものになる。“社畜”なるフレーズにも、辛さに飼いならされることへの諦めがうかがえる。

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勤勉は美徳か? 幸福に働き、生きるヒント

大きなストレスを抱えている現代日本の労働者が幸福になる道はないのか

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