オーストラリアで働く21歳男性が経験した“地獄のバイト”。現在は掃除の仕事で月収約30万円に
オーストラリア・ブリスベンでワーキングホリデー生活を送るククさん(21歳・男性)。
「英語を話せるようになりたい」「就活で周りと差別化したい」「お金を稼ぎたい」と、期待と希望を胸に地方国立大学で出会った仲良し3人と共に渡豪を決意。しかし、現実は理想とは程遠かった――。
到着後、1か月間語学学校に通いながらも4人それぞれ仕事探しを開始。中には2週目で職を得たラッキーな友人もいたが、ククさんの場合は一筋縄ではいかなかった。
「直接店まで行って配ったレジュメは30件以上。一週間で100キロ以上歩き回ったこともありました。そんな中、友人たちは次々に仕事を見つけていたのでかなり焦ってましたね。
大学生でお金もなかったので、親に20万の借金をしたことも。親に対する申し訳なさや家賃すら払えないかもしれないという恐怖心もあり、常にストレスを抱えていました」
そんな当時のククさんの毎日の食事は一袋1.43ドルで買えるパスタばかり。具材はスーパーの食材の中でも比較的安く買える玉ねぎとじゃがいもだ。例外的にちょっと奮発したいと思った日にはお肉コーナーの中でもとりわけ安いせせりを買っていたという。
「こっちの物価は日本の2~3倍。その中でも安く買えるものがあるので節約するならまずは食費から。こっちのせせりってすごく癖があって独特な匂いがするんですけど『これでも肉だ!』とちょっとした贅沢感を味わいながらパスタと一緒に食べてましたね」
無職期間は1ヶ月半。文字通り「限界大学生」の生活を送っていた彼だが、なんとか職をゲット。ようやく希望の光が差し込んだように思えたが、それは希望のように見える悪夢の始まりにすぎなかった――。
やっとの思いで見つけたのは自宅の目の前にあるローカルカフェ。「最初の1週間はトライアルだから時給20ドル(※約2000円)」と言われたそうだが、オーストラリアの最低賃金は24.1ドル。明らかな違法労働であることは間違いないが、当時の彼にはむしろ棚からぼた餅だった。(※24年11月26日時点のレート、以下同)
「通常トライアルといえば、最初の2、3時間無給で働かされるところが多いと聞いていたので、むしろ時給が発生するだけラッキーだと思っていました」
オーナーはインドネシア人の男性。親日家で最初はとても親切だったという。
「お金や環境に対するストレスもあってか、眩暈で立てなくなるという症状が度々出てしまい、急遽休まざるを得ないことも。
とても迷惑な行為であるはずなのに、オーナーは『ちょっときついけどお前が元気になって戻ってきてほしいからゆっくり休め』と優しい言葉をかけてくれて。その時はなんてホワイトな職場なんだ、絶対ずっと続けようって思ってましたね」
友人が次々と職を見つける中、不安と焦りの日々
最初は「とても親切だった」職場のオーナー
元『週刊SPA!』編集者。ビジネス書『海外ノマド入門』(ルイス前田著)の編集を担当後、自身もノマドワーカーの道を志し、5年勤めた出版社を退社。現在はカナダでワーホリ中。将来的には旅先で出会った人々を取材しながら世界一周することを視野に入れている。無類の酒好きで特に赤ワインには目がない。
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