後部座席でイチャイチャしていたカップルが…タクシー運転手が“気まずかった”客5選
急かせる、命令口調、絡む、酔っ払い……。タクシードライバーが嫌がるお客さんといえば、カスハラ絡みの人たち。法律や接客業という縛りがなければ、「とっとと降りやがれ!」と一喝したくなるものだ。
土曜日の昼下がり。30歳前後と思しき夫婦が目的地として指定したのは某カーディーラー。旦那さんはお目当ての車があり、すでに営業マンと話を進めているらしく「車内も広いし、格好いいんだよ」楽しそうに話している。対する奥さんは「そうなんだぁ」、「へぇー」と聞き役に回っているが、あまり笑顔がない。走り始めて2分ほどで、かなり温度差があることが読み取れた。これはもしかすると……。嫌な予感がし始めたその時。
「でもさ、そういうこと勝手に決めないで欲しかったな」
ちょっとスネているような、可愛げのある発言じゃない。明らかに冷たく、責めている口ぶりの奥さんの言葉が車内の空気を一変させた。途端に笑顔が消え、言葉に詰まる旦那さん。何とか言葉を繋ごうと、「悪かったよ。けど、車があったら便利って話してたじゃない。運転するのは俺なんだしさ」その場を収めようとするが――。
「いっつもそうだよね、勝手に決めちゃって」
あの時はこうだった。その前もこんなことあったよねと、奥さんが過去の話を蒸し返し始めた。女性がこの手の話を始めると、多くの男性はイライラするものだ。案の定、車内は殺伐とした雰囲気になってしまった。
「いっつもって、そういう言い方するなよ。何で昔の話をいちいち出してくるんだ」
お互いの言葉にどんどん棘が出てきた。まだ口喧嘩の段階だけど、運転しているこちらは気が気じゃない。火の粉が飛んでこないよう、早く降りてほしい。でも、そのケンカに割り込んで聞くべきことがあった。実はそのディーラー、片側3車線道路の反対側にあったのだ。
「そろそろ着きますが、Uターンして中に入りますか?」
ふたりが無言になった瞬間、できるだけ冷静に問いかけると、
「いえ、そこ(反対側)でいいです」(奥さん)
「はい、Uターンしてください」(旦那さん)
同時に違う答が返ってきた。どちらもそれ以上言葉を発しない。困った筆者は早く降りてもらいたくて、奥さんの言うとおりの場所に停め、無言のまま降りていくふたりを見送った。旦那さん、車、買えたのかなぁ?
一方、カスハラじゃないけれど、車内がどんより、嫌な空気になるケースもある。今回はそんなエピソードをいくつかご紹介します。
1)静かなケンカほど緊張するものはない
過去の話を蒸し返し始めた
フリーライター。定時制で東京を走り回っている現役の中年タクシードライバー
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