某総合商社子会社もブラック企業だった
ブラック企業といえば、IT系・ベンチャー系企業の専売特許のように言われてきた。しかし、最近は名の知れた老舗・同族大手企業にも、そのような実態がある。昨年事件になった大王製紙を皮切りに、知られざる内部事情を暴く
◆日々の上司のイビリと、孤独感に体が蝕まれ……
国内7大商社のひとつに数えられる総合商社のグループ企業に新卒入社するも地方営業所に配属され、「知らなかったのですが、地方とばしが伝統みたいなんです」と言うのが、坂本一平さん(仮名・27歳)だ。
「法人向けに特殊ガスを卸す会社だったんですが、配属先はまさかの九州。しかも、その地区はキャバクラもなければ風俗もない工業地帯。入ってから聞かされたのですが、伝統的に縁のない地域にとばされるそうです」
坂本さんの配属先は、上司2人に、嘱託社員と、事務の女性を入れても5人の小さな営業所。親ほども年の離れた2人の上司に、毎日のように罵られながらの孤軍奮闘が続いたという。
「メインの仕事は、車で法人の顧客を一日数件、上司と回るだけのルート営業。車の中では毎日上司に罵られる。上司が来る前に出社、帰るまで帰れないは当たり前。休日も接待をしたりと休む暇もない。本来は営業の仕事ではない、水素ガスのボンベを転がして運ぶ危険な作業も『勉強になるから』の一言で、週3日間、丸1日やらされたりするんです……」
また、化学工場の汚れた空気に馴染めなかった坂本さんはアトピー性皮膚炎を発症、体重も10kg近く落ちた。上司に診断書を見せ、異動願を出し続けたが、最後まで聞き入れてもらえなかった。
「他部署では、誰が見ても明らかにおかしい状態で痩せていった部長が、脳溢血で倒れました」
長年続く有名企業だからこそ就職を決めた彼だが、中小企業のような職場環境に嫌気がさして、自主退社の道を選んだという。
イラスト/テラムラリョウ
― 老舗・同族[大手ブラック企業]社員の叫び声【2】 ―
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