中国海軍を迎え撃つ!? 海自の最強艦隊【画像集】

 野田首相も参加し、「諸君らが一層奮励努力することを切に望む」と自衛隊員にはっぱをかけた3年に一度の「自衛隊観艦式」(10月14日)。この野田総理の「一層奮励努力」という発言が波紋を呼んだのをご存じの人も多いだろう。日露戦争のハイライト、日本海海戦において強大なロシア・バルチック艦隊を目前にした連合艦隊旗艦「三笠」はのちに有名になる信号旗・「Z旗」を掲揚したのだが、この旗の意味する言葉が「皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ、各員一層奮励努力セヨ」。以後、日本海軍では重要な作戦の際にはZ旗を掲揚することが慣例化されたことから、一部の間で今回の野田首相の発言は実質的な戦闘宣言か!?という憶測が広がったのだ。

 そこで、週刊SPA!10/16発売号では「日本のイージス艦は中国海軍を一瞬で粉砕する」と題して、日中海戦をシミュレーション。本誌記者が観艦式の予行演習で目撃した海上自衛隊の戦力についても触れたが、誌幅の関係で取り上げられたのはごくわずか。ここでは、誌面で取り上げられなかった観艦式の様子を紹介したい。

自衛隊観艦式

護衛艦「しらね」の54口径5インチ単装速射砲で祝砲を発射。観艦式では空砲だったが、実際には直径5インチ(12.7cm)の対水上弾、対空弾を毎分約33発の速さで発射できる

 今回の観艦式は、海上自衛隊創設60周年の年に当たるだけあって、参加艦艇は海外艦艇3隻を含めた40隻と超豪華。陸自・空自と合わせて、航空機も33機参加した。今年就役した国産多機能レーダー「FCS-3」搭載の最新護衛艦「あきづき」も参加したほか、同じく今年就役したばかりの世界初の大型AIP(非大気依存推進)潜水艦「けんりゅう」もお目見え。

⇒最新鋭潜水艦「けんりゅう」【画像】はコチラ
http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=311302


自衛隊観艦式

世界最強との呼び声も高い海上自衛隊の最新鋭潜水艦「けんりゅう」。世界最大級のAIP(非大気依存推進型)潜水艦であり、最大2週間以上の水中持続力を持つとされる

 この「あきづき」は、上空の複数の目標を同時捕捉・同時攻撃できるイージス艦に勝るとも劣らない最新護衛艦であり、軍事ジャーナリストの井上和彦氏曰く「650隻を擁する北朝鮮海軍を、この1隻だけで殲滅できるほどの能力がある」という。「けんりゅう」はディーゼル式ながら、外気を取り込まなくても2週間近く潜航できる最新のAIP潜水艦であり、静粛性は世界一と言われている。尖閣諸島付近を潜航したら、まず中国海軍には発見できまい。

 観艦式の訓練展示では、まずSPA!が乗り込んだ護衛艦「しらね」が、護衛艦「はたかぜ」とともに5インチ54口径単装速射砲で祝砲を発射。その轟音はすさまじく、大気が震え、足の指先まで衝撃波が伝わるほど。予行演習だったせいか、5発目が不発に終わり、乗員が「1発少なくて申し訳ありません」と頭を下げる一幕も。

 この祝砲の後に、護衛艦「たかなみ」「おおなみ」「はるさめ」は右に左に船首を急回転させる戦術運動を披露。潜水艦「いそしお」「わかしお」は潜航からの浮上訓練を行い、海自最大級のヘリ搭載護衛艦「いせ」と護衛艦「あさゆき」はヘリの発艦訓練、補給艦「ましゅう」は護衛艦「はるゆき」「せとぎり」との洋上給油などを披露したが……この辺は、少々地味……。特に潜水艦の浮上は、どこで行われたのかわからず、「もう浮上したの?」とガッカリする観客が多数。

対照的に、注目を集めたのは火器を使った訓練だ。ミサイル艇「しらたか」「くまたか」は赤外線追尾ミサイルを躱す際に用いる熱源弾・IRデコイを発射。海上は煙で覆われ、2隻のミサイル艇が視認できないほどに……。

 世界最高の対潜哨戒能力を誇る「P‐3C」は対潜爆弾の投下を実演。海上には特大の水しぶきが起こり、100m以上離れていても「しらね」の甲板が小刻みに震えた。赤外線追尾ミサイルを躱す際の囮として用いるIRフレアの発射というド派手な演出のあとは、観艦式を締めくくる救難飛行艇「US‐2」による海上離着水訓練。締めくくりとしては地味だが……実はこの「US‐2」は日本が誇る世界最新の水陸両用航空機。世界で唯一波高3メートルの外洋に離着水が可能で、時速100kmという超低速での飛行が可能な優れものなのだ。

⇒P‐3C、US-2【画像】はコチラ
http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=311326


 まさに観艦式は世界最高・最強・最新を見せつける、ハイテク艦艇・航空機のオンパレード。井上氏も「中国の武力衝突が起きても、現時点で日本が負ける要素はない」と太鼓判を押すのだが……不安材料がないわけでもない。

自衛隊観艦式

国旗降納(降ろすこと)の準備をする護衛艦「しらね」の船員。独特のラッパ譜で演奏される「君が代」とともに貢納する

「中国が尖閣諸島付近に監視船を送り込んでけん制を続けているのは時間稼ぎ。中国はウクライナから購入した空母『ワリャーグ』を改修し、試験航行を終えていますが、同空母にはカタパルトもなければ、艦載機もない。ロシアからSu(スホーイ)-33を買って載せようと考えたんですけど、Su-27のライセンス提供を受けた中国が勝手にコピー戦闘機J‐11を作ったものだから、ロシア側がカンカンになってSu-33の提供を見送った。つまり、現時点で中国の空母は、とても実戦配備できるような代物ではないのです。中国側も当然、それを承知しているので、監視船でけん制しつつ、時間を稼ぎながら、艦載機、空母を守る護衛艦の配備を進めている。おそらく、この状態が10年も続いたら、日本と中国の戦力は逆転する可能性もあるでしょう。日本の海自の能力は一流でも、政治家の実力は4流ですから……」(井上氏)

 最新鋭の護衛艦を揃え、世界一の哨戒能力、世界トップクラスの防衛力を誇ると言われる我らが海上自衛隊。だが、彼らの最大の足枷となりそうなのは、観艦式で”宣戦布告”ともとれる不可解なスピーチを披露した野田首相をはじめとした、日本の政治家たちなのだ。

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<取材・撮影/池垣完(本誌)>

週刊SPA!10/23号(10/16発売)

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