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家庭用ゲームにも“無料プレイ”が増えている理由

スマホなどで無料ゲームアプリを楽しむ人は増えたが、家庭用ゲームでも無料で遊べるタイトルが増えている。それもシリーズ大作まで。その背景に迫った。 ◆大手ゲームメーカーが挑戦するF2Pへの取り組み。家庭用ゲームに広がるF2P
みんなといっしょ

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 ゲームソフトに行列をつくり、数千円を費やしたのも昔話になるかもしれない。というのも、最近の家庭用ゲーム業界では、F2P(=Free to Play)として、“基本的にプレイ自体は無料”のゲームが増えつつあるのだ。  基本プレイ無料のゲームは、もともとパソコン向けのオンラインゲームや、スマートフォンのソーシャルゲームが主流だったが、近年はオンラインプレイが可能になったプレイステーション3、プレイステーション Vitaといった家庭用ゲーム機にも波及。完全新規のタイトルだけでなく、格闘ゲームの『鉄拳』や人気キャラクターのトロが登場する『みんなといっしょ』をはじめ、『パワプロ』『三國志12』など、メジャーなタイトルが次々とF2Pでサービスを行っている。来年2月に発売される新ハード・プレイステーション4向けでも、『deep down』のようなビッグタイトルが基本無料を発表しており、今後、ますます家庭用ゲームでも無料プレイが普及していきそうだ。 ◆F2Pモデルの利点と今後の課題とは?  増えつつあるF2Pだが、もちろん危惧する声もある。ゲームメディアに長年携わるA氏は、有名タイトルのF2P化に伴う懸念として、「コアなユーザーからの反発を恐れて、各社が試験的に挑戦しているなか、メジャータイトルが既存のシステムを変えてまでF2Pでリリースするのは冒険的。下手をすれば、既存のファンが離れる可能性もある」と語る。  では、なぜゲーム会社が、コアなファンが離れるリスクを秘めつつも、メジャータイトルのF2P化に踏み切るのか? 『鉄拳』をはじめ、『エースコンバット』や『ソウルキャリバー』など、自社の人気コンテンツをいち早くF2P化したバンダイナムコゲームスで、『鉄拳』シリーズの総合プロデューサーを務める原田勝弘氏に聞いてみた。 「私たちが『鉄拳』のF2P化を決めたのは、新規ユーザーや、ゲームから離れてしまったユーザーを再び取り込み、次のパッケージタイトルなど、今後につなげるためです」  実際、この狙いは功を奏し、シリーズ初のF2Pモデルである『鉄拳レボリューション』は、6月12日に配信後、約2か月の8月下旬には200万ダウンロードを突破。 「正直、予想していたよりもペースは速かったです」と、コアなファン層の反応はこれからかもしれないが、原田氏の狙い通り、新規ユーザーや出戻り組の取り込みにF2Pはかなり有効なようだ。 「コンテンツや情報があふれている今、一本8000円近くする完全新規のパッケージタイトルは、手を出しにくくなっているのも事実。そんな中で、F2Pなら、『とりあえず遊んでみよう』という気持ちになる。ソーシャルゲームでF2Pに親しんだ人たちが、家庭用ゲームのF2Pに流れる導線にはなる」(A氏)  ただ、そうして流れてきたユーザーに対して、どう課金し、利益を上げていくかは今後の課題だ。 「露骨にやりすぎると反発されるので、ユーザーが納得して課金してくれるシステムをつくる必要があるでしょう」(同) 【みんなといっしょ】 ●SCEJA/PS Vita PlayStation(R)Networkのフレンドを増やすためのマッチングアプリケーション。フレンドと協力してお庭を豪華にしたり、ダンジョンに挑めるほか、アバターを着飾ってオシャレを楽しむことも可能 【三國志12 対戦版】 ●コーエーテクモゲームス/PS3/PS Vita 「三國志」で活躍する、武将たちのカードを集めてデッキを作り、全国のプレイヤーと腕を競い合うオンライン対戦ゲーム。入手した装備品で武将を強化することができるなど、やり込み要素も満載 ⇒【プレイ画面】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=538640
三國志12 対戦版

三國志12 対戦版

【パワプロスタジアム】 ●KONAMI/PS3/PS Vita 『実況パワフルプロ野球2012』と『決定版』に搭載のモード“パワスタ”がパワーアップしF2Pタイトルに。シリーズのキャラクターカードを集めてオリジナルチームを作成し、対戦できる ⇒【プレイ画面】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=538646
パワプロスタジアム

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