関東カープ女子148名を感激させた、広島球団の営業戦略
「神様・前田サマ(前田智徳氏)と直接お話できただけで十分なのに、エース・マエケンが(ヒーローインタビューで)私たちのことを言ってくれた。最後は大入り袋まで頂けて、最高に幸せです!」(参加者の逸見麻紀子さん)
神宮やハマスタのレフトスタンドを真っ赤に染める「関東カープ女子」たちに、本拠地ズームズームスタジアムの雰囲気を味わってもらいたい。球団若手女子スタッフの粋な計らいから誕生したびっくり企画が、10日(土)の広島中日戦で行われた。
◆東京~広島間約500万円を負担!
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メディア各社からの取材を受けたり、神様・前田氏と対面したり、ビューティコンサルタントによるレッスンを受けた彼女たちは、誰もが満足感あふれる表情を見せた。148名の「関東カープ女子」たちのチームに対する忠誠心が、わずか半日の経験で一層高まったことは言うまでもない。投資500万円で、150名もの生涯顧客を獲得したカープ球団の営業戦略は秀逸だ。
晴天に恵まれ、およそ3万人のファンが訪れた球場正面のグッズ売り場は朝から大盛況。「東京から招待してもらった分、散財します!」と笑顔で語った20代の学生は、紙袋いっぱいのグッズを購入して帰路についた。偶然にもこの週末、カープ球団が直営する売店の視察に訪れていた某球団のフロント幹部は「試合開始前で既に1,000万円近い売上があり、本当に驚きました」と、カープのローカル戦略に舌を巻いていた。
ゲーム展開も、彼女たちカープ女子に味方した。エース・マエケンが初回に中日・森野に先制3ランを喫したものの、終わってみれば7回8安打4失点と持ち直して今季4勝目。お立ち台では「今日は関東からカープ女子の皆さんも来てくださって、その前で勝ててよかったです!」と満点のコメント。昨年、同僚の影響でカープ女子となったファン歴1年のゆきさんは「私が観戦した試合はこれで8戦8勝!」と紅潮した顔で、つかの間の夢体験を締めくくってくれた。
「きょう来てくれた方々が、関東のビジター席を真っ赤に染めてくださっている人たち。関東でもきっとこんな風に応援してくださっているんだろうな、と思うと、胸が熱くなりました」。この日の企画を担当した球団営業企画部、金光里絵さんのコメントは、関東カープ女子への感謝や思いやりで溢れていた。
「流行りの“スポーツツーリズム”みたいな大それた考えは全くない。来ていただいた方々の笑顔がすべての原動力」(営業企画課・山口恵弘課長)。「我々は地方球団だから(マーケティング活動を)大きくやるよりも、確実なファンに対して小さくやる活動が必ず実を結ぶ」(同・折山氏)と、大盛況に終わった「関東カープ女子」のホスト役に徹した球団スタッフの一貫した哲学に、快進撃を支える広島カープの営業戦略の源泉があった。
<取材・撮影・文/スポカルラボ(http://www.scl.tokyo/)>
この日のデーゲームに招待された関東在住の「カープ女子」は148名。応募総数2,305名、およそ15倍の抽選を射止めた“幸運の女神たち”にカープ球団は東京-広島間の往復新幹線チケットをプレゼント。概算の交通費500万円は球団が全額負担という、前代未聞の超太っ腹企画だ。
試合前には彼女たちが陣取るレフトポール際のパーティーベランダ席に、サプライズゲストとしてOBの前田智徳氏が登場。5時間以上の長旅もなんのその、カープ女子たちのボルテージは最高潮に達し、中には涙ぐむファンの姿もあった。
「一度は来てみたかった憧れの地」、「普段は限られた一角で応援しているので360度真っ赤なスタンドは夢のようだった」と、参加者は興奮しながら“聖地”での初観戦を堪能した。さらに盛り上げ役として大手企業も参画したことから、広島へ向かう新幹線車中での取材タイム(JR西日本)、前田智徳氏の見どころ解説や記念撮影(球団)、観戦しながらのメイクアップ講座(資生堂)、前田氏との集合写真をレイアウトした特別号外のプレゼント(中国新聞)など、単なる観戦ツアーにとどまらない、立体感あふれる体験型ツアーに仕上がった。
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