互いの文化に“精通”している日韓のネット右翼たち
嫌韓デモ勃発などで良くも悪くも、日韓問題が取りざたされる昨今。その傍らで日本の「ネット右翼」と、韓国の「ネチズン」が日々、互いの国を罵倒するための材料探しに明け暮れている。そこで注目すべきは彼らが「互いの文化にやけに詳しい」ということだ。
最近で話題となったのは、野田首相が国会で水を飲む作法が韓国人のそれと酷似しているというもの。某掲示板ではこの問題でしばしのあいだ、盛り上がった。
「やはり民主党政権は韓国に操られている!」
「日本は終わりだ」
「人の習慣てどんなコミニュティで生活してるかで形成されますので、日頃お付き合いしている方々の礼儀作法でしょう」
などと断定され、しまいには野田首相の国籍に疑惑が向けられるまでに至った。これについて複数の韓国人に確認すると、「その飲み方が韓国式だなんて初めて聞いた」「年長者の前で酒を飲む時、杯に両手をあてて横を向くが、それ以外では普通に飲む」「単に野田首相の癖なのでは?」という回答だった。
他にも、日本と韓国のノーベル賞受賞数の違い、ペニスの長さの違いなどジャンルは実に多岐にわたる。K‐POPの近代史にも詳しく、「今のK-POPはダメだが李博士のポンチャックは良かった」(李博士:90年代半ばに活躍したテクノ歌手。日本のCMにも登場し一躍有名に)などと一般のK-POPファンには知り得ない知識を持ち出して礼賛する声も。あまつさえ、マニアックな韓国語や当の韓国人ですら知らなかったマイナーな歴史まで掘り起こす始末だ。
韓国では糞を溶かした酒を好んで飲むという「糞酒(トンスル)」説がその代表といえる。韓国の中世の医学書にそのような記述があるだけでほとんど知られておらず、現在では利用者もいない。トンスルは韓国在住の主婦が噂を鵜呑みにして書いたブログから発祥し日本のネット上で広まり、韓国に糞食文化があるという誤解に至ったようだ。
一方韓国のネチズンも、日本についての知識を各所で披露しているが、どれもお粗末だ。某サイトでは「日本人の特異な点100」と称し羅列している。その中から一部を抜粋した。
「日本人のゲロは主に黄色である(たくあんや納豆のせい)」
「日本では刑務所を出たらまっすぐに銭湯に行く」
「日本女性は正座をしながら喧嘩する」
「日本人は普段は下の名前で呼び合うが、喧嘩するときはなぜかそうしない(例 普段:つとむ君~/喧嘩時:おい、てめえ!)」
「日本人は『こんにちは』と言わずに、『オッス』と言う。『こんにちは』は初対面のときだけ使う」
「日本人は老人や障害者に席を譲らない」
「日本人はトイレを出た後に手を洗わない」
「日本男性はビンの蓋をあけるとき、オープナーがない場合、誰かが開けてくれるまで待つ」
「日本人は包茎手術を知らない」
「日本のコンビニ店員は緊張感とプロ意識がある」
「日本人は出っ歯が多い」
「日本の成人男が最も好きな話題は『良かった?』(※編集部注 性行為に関するものと思われる)である」
「日本女性が男を選ぶ基準は、一晩過ごした後の『良かった』具合である」
「日本男性は自分の口臭が腐ったにおいがすることに絶対気付かない」
どうだろう? トンスル説や野田首相へのイチャモンと同レベルではないだろうか?また、日本でアルバイトをしている韓国人女性はブログで「日本の女子高生はニュースを見なさすぎ。ドラマと芸能以外には興味がないみたい。アメリカ以外の国がどこにあるのか知らないことには驚いた」と綴っている。
こうしてみると、ネット右翼とネチズンの違いは互いの国籍だけである、と思わざるを得ない。
取材・文/おたま ハッシュタグ