2015年のボートレース女王決定戦、第4回クイーンズクライマックスに出場する12選手が出揃った。彼女たちは今年の獲得賞金上位12選手。28日から始まるトライアルを3戦し、得点率上位の6選手が大晦日の優勝戦に進む。SPA!ボレ女の注目は、地元福岡から出場する小野生奈選手。ただいま発売中の本誌で紹介しきれなかった師走の赤裸々ガールズトーク完全版をお届けします!
左から篠原麻実、白河雪菜、小野生奈、柴田千恵子、馬場絹依。レースだけではなくプライベートなことまで、小野選手はぶっちゃけてくれました
――2年連続でクイーンズクライマックスに出場される小野生奈さんにお越しいただきました。小野生奈選手はみんなのことを知らないので、まずはボレ女の自己紹介からいきましょう。
篠原:尼崎出身の篠原麻実です。母がボートレース尼崎で働いています。
小野:わーすごい。場内ですか?
篠原:はい。実は……おばあちゃんも働いていました(笑)
小野:ボートレース界のサラブレッドですね(笑)。好きなレーサーはいるんですか?
篠原:篠崎元志選手です!
小野生奈●’88年福岡県生まれ。キュートな笑顔と豪快なレースで人気の女子レーサー。妹の小野真歩も同じく女子レーサーとして活躍中
小野:おー!やっぱり王道を行きますね!
白河:こんにちは。白河雪菜と申します。以前はプロ雀士をしていました。現在はボートレースタイムスでキャスターをやらせていただいています。
小野:私、絶対見たことあります!
白河:好きなレーサーは松井繁選手です。
小野:カッコいいですもんねー。
馬場:舟券の買い方がダイナミックで、メンバーで一番お金を使ってくれる人です(笑)
白河:負け続けていますが、たまに万舟を獲ってチャラにしています(笑)
柴田:21歳の大学生、柴田千恵子です。私は2012年のグランプリを偶然テレビで観たのがきっかけで、ボートレースにはまりました。
小野:山崎智也選手が優勝したレースかしら?
柴田:はい、そうです。あの捲り差し!
篠原:私も覚えてる~
柴田:きっかけをくれた山崎選手をずっと応援しています。
馬場:ラストは最年長の馬場です。こう見えて……人妻です(笑)
小野:キャー、色っぽい!
馬場:好きなレーサーは湯川浩司選手です。普段は商品のPOPライターをしています。
小野:器用なんですねー。私、絵は得意じゃないから尊敬しちゃう(笑)
馬場:小野選手、早速ですがクイーンズクライマックスについて意気込みを聞かせてください。
小野:チャレンジカップの成績がダメだったのでギリギリかな……と思っていましたが、何とか上位12位に残れてホッとしています。(地元福岡からの出場は)チャレンジカップ前までは私ひとりしかいなかったのですが、さすがは先輩たち。最後のチャレンジカップで順位を上げてこられました。福岡の*3選手で地元開催を盛り上げたいです!
(*他の2選手は29歳の川野芽唯選手とベテラン日高逸子選手)
白河:今年のクイーンズクライマックスが地元福岡で開催と発表されたときから意識しましたか?
小野:しましたね。地元のビックレースなので「何があっても出ないと!」と、ここを目標にしてきました。
馬場:クイーンズクライマックスって例年はいつ頃から意識しはじめるんですか?
小野:うーん……。私はいつもギリギリになってからですね。自分で賞金のランキングは見ないのですが、さすがに近づいてくると記者さんたちから言われるので……。
柴田:「今、何位だよ」とか?
篠原:「もうちょっとだよ」とか?
小野:そうです。普段はそういうふうに言われだしてから、意識しはじめる感じです。
馬場:あまり新聞とか記事とか、見ないんですね?
小野:そうですね。見るレーサーもいると思いますが、私は見ないんです。レースの番組って前日に決まるんですが、それもあまり見たくない。事前に見ないで当日になって確認するタイプなんです。
一同:へー!(驚き)
小野:事前に知ってしまうと、いろいろ考え過ぎちゃうんです。
小野選手のプライベートが丸裸に??
白河:ところで小野選手、今日はとっても可愛いネイルですね。ネイルはジェル派ですか? スカルプ派ですか?
小野:私はジェル派です。
馬場:プロペラを叩くときとか、邪魔になりませんか?
小野:いいえ。むしろ爪が丈夫になるのでアリです。
柴田:ストーンもつけるんですか?
小野:大きいのは邪魔になりますが小さいモノなら全然OK。デビューしたての頃は「絶対にせんとこ!」と思っていたのですが……ネイルをしだしたら成績が良くなって。今ではやめられなくなりました(笑)
馬場:アスリートの皆さんは、ジンクスって一度はじめたら担ぎ続けないといけないですもんね。
篠原:ネイルにはボートを絡めたりしないんですか?
小野:実は「ターン(TURN)」って英語で入れたり、「1」って入れたりしてます(笑)
一同:見てみたーい!(笑)
馬場:勝負の世界で生きている方は、いろんなゲン担ぎがありそう。私生活では靴とか部屋のスリッパとか、先を揃えて脱がなかったら嫌とか、ありますか(笑)?
小野:う~ん、靴はまったく気にしません(笑)。でも数字にはこだわっていますよ。靴箱に靴を入れるときは「6」に絶対に入れない。
篠原:じゃあ、緑(6号艇の色)も避けたりするんですか?
小野:緑色を避けることはないです。あくまで「6」という数字だけ。6着だけは取りたくないので。
馬場:でも小野選手って6着は少ないですよね?
小野:6着ばかりだと点数が上がらないので「絶対に取らないぞ!」って強く思って走っています。
馬場:じゃ後ろのほうを走っていたとしても、意地でも順位を1つ上げる、みたいな?
小野:その通りです。毎回必死で走っています。
篠原:下駄箱の「6」以外にも、ゲン担ぎはあるんですか?
小野:ジンクスというか、ルーティンは言い出したらかなりありますよ。レース前には、必ず立ち寄るお地蔵さんがあります。レース場についたら、ピットの繋ぎ目は必ず左足からまたぎます。ボートに乗る前は、必ず脚を5回叩きます。小野生菜(おのせいな)にちなんで5回、パンパンって叩きます(笑)
馬場:車のテールランプの「ア・イ・シ・テ・ル」みたい(笑)
小野:ピットでレーサーの集合がかかると、みんなで「お願いします」と挨拶するんですが、私は誰よりも大きな声を出します。それで「勝った!」みたいな(笑)
柴田:たくさんあるんですね!
篠原:好きなコースはありますか?
小野:コースは全部好きですが、特に3、4、5が好きですね。
馬場:インは好きじゃないんですか?
小野:実はインは……苦手です(笑)。以前のモーターだとスタート前の景色を掴めてたんですが、出力低減型モーターに変わってからは、かなり早めに行かないといけなくて。私たちは空中線の角度を目視しながら「入ってる」「入ってる」ってスタートを切るんですが、出力低減型だとかなり突っ込まないといけないんです。そこが難しくて。
白河:スタートが最も難しいのはインコースなんでしょうか。
小野:はい。旗が見えないので難しいです。F(フライング)は切れないし、1号艇は……苦手です(苦笑)
白河:小野選手は攻めるイメージだから「3」「5」の奇数のイメージが強いなぁ。
小野:確かに、攻めるレースは好きですね。
篠原:6号艇はどうですか?
小野:「そこ行きたい!」と思っても待たないといけない時があるから……難しいです。キャビっている選手(キャビテーション=空回り=急減速)も見えるので、展開によってはレースをやめて避けなければいけなかったり。もちろんそれはお互いさまで仕方ありませんが、そういう時はちょっと不完全燃焼かな。(敗れた理由が)脚とかじゃないから。
柴田:私、小野選手が外枠のときはめっちゃ買っちゃいますよ。
小野:本当ですか?
柴田:捲りのイメージが強いから期待しちゃいます。
小野:そう言ってもらえると嬉しいですね。これからも攻めますよ!
ファンからのプレゼント、一番嬉しい意外なものとは……
白河:」ボートレースには熱狂的なファンもいらっしゃいますよね? 今まで面白いエピソードはありますか?
小野:残念ながら私は面白エピソードが少なくて。女性というよりレーサーとして見られている気がします。だから「頑張れよ!」とか声を掛けられることが多いかな。
白河:これまで雑誌とかで小野選手をお見かけすることがありましたけど、今日、間近でお会いして、小野選手がすっごく華奢でびっくりしました。
小野:(顔を赤らめながら)いや、いや、いや。そんなことないですよ、全然……。実際のレースだと、カポックとかいろいろ着込んでますもんね。
篠原:こんなかわいい小野選手が、水面を立ち上がって激しいバトルをしてるなんて。
小野:ハハハ(笑)
馬場:ファンからいただいたプレゼントで突っ込みを入れたくなったモノってあります?
小野:うーん……。なんだろう。
柴田:お菓子とかぬいぐるみとか、いただくことが多いんじゃないですか?
小野:そういえば私……一度だけ、●●●●(編注:諸般の事情で伏せ字にしました)をいただいたことがありました。
一同:いやぁぁぁぁぁ~~~~~~!
小野:あれはちょっとビックリしましたね(苦笑)
篠原:小野選手がもらって嬉しいプレゼントを教えてください。
小野:お水です!(即答)
柴田:お水!?
小野:宿舎に入るとき買っていくと重たいし、宿舎で買うと高いんです。1本200円とかして(笑)。だから、特に遠征先ではお水が一番嬉しいですね。コーヒーを沸かして先輩たちと飲んだりもするので。
馬場:これを知ったらファンの人が喜びそう!
小野:あと、「ウィダーinゼリー」とか「カロリーメイト」みたいな補助食です。レース場ってゆっくりご飯をたべる時間がなくて、すぐお腹が空いちゃうので分けっこしたりします(笑)。私たちレーサーは、水の上ではライバルでも、開催中の宿舎では一緒に暮らしています。ちょっと「不思議な世界」だと思いますね。
篠原:同じレースに出走するライバル同士がいろいろ教えあっているんですよね。
ボートは大好き!でも、レースは……
小野:私、ボートに乗るのは大好きですが……人と競うのは嫌なんです。乗るのは楽しい。でも正直、レースはあまり好きじゃないんです。レースは勝ち負けが出る。他人に勝つということは、相手が後着(こうちゃく)するってことじゃないですか。そういうのがあまり好きじゃなくて……。
馬場:ツケマイで誰かを沈めた時とか「気持ちいい~!」とか、ないんですか?
小野:……それは気持ちいい!(笑)。言ってることが矛盾してますね(笑)
篠原:やっぱり勝負師なんですね!
小野:ただ、例えば同支部の先輩が相手だったりすると、争いたくないんです。これは本音です。何事においても。
白河:すごい意外です。小野選手って勝ち気なイメージがあるから。
馬場:「みんな、ぶっつぶす!」みたいな(笑)
小野:新人の頃、何もわからなかった私は先輩のおかげで成長できました。新人の頃にある先輩からこんなことを言われたんです。「あんたが上になったら後輩にも教えてあげなあかんよ」って。その言葉の意味が最近やっとわかってきました。
馬場:そういう人間ドラマがあるから、私たちファンは他の競技に目映りしなくなるんです。ピットだとすごい協力し合っているのに、ひとたび水の上に出るとライバル心むき出しでガンガンやってる姿にときめいちゃいます。
柴田:その姿に感動するんですよね~。
白河:全力で戦い、相手をたたえ合う姿が最高にいいですよね。
誰もがうらやむ師弟関係。実は一度、断られていた!
白河:ところで小野選手はレースで嬉し泣きしたことはあります?
小野:一度だけあります。はじめて走ったGIが九州地区選手権だったんですが、ずっと勝てなくて……。自分の力が全く通用しなくて「もうダメ……」って落ち込んでいたら、師匠の吉田弘文選手が「これしてみろ!」って声をかけてくれて。それで言われた通りに整備したら見違える走りになって「師匠! この乗り心地! 来た~!」って。それで初めてGIで1着が取れたんです。レースが終わって先輩たちから「よかったね」「おめでとう」と言ってもらった時に……嬉し泣きしました。
馬場:小野選手の師弟関係は素晴らしいですもんね。ファンの間では「この師弟関係、いいよね~」っていつもウワサです(笑)
篠原:Twitterでも「この師弟関係は素晴らしい」ってよく見ます。
小野:ありがとうございます。師匠の吉田選手は、自分の性格も全部わかった上で、いつも的確なアドバイスをくださるんです。メンタルもコントロールしてくれる。「オレがこう言えば安心してレースに行ける」ってわかってくださっている。今の私があるのは師匠のお陰です。
柴田:ところでどうして吉田選手を師匠に選ばれたのです?
小野:今は離れちゃいましたけど、新人の頃、歩いて2分くらいのところに師匠が住んでいらして(笑)。それでデビューしてすぐに電話したんです。「はじめまして、今度デビューしました小野生奈です」って。それで一度もお会いしたことないのに「師匠になってください」ってお願いしたんです。
篠原:そしたら??
小野:「えっ。そんなんムリやけん!」って断られてしまって(笑)。それでデビューから2年くらい、私は1勝も挙げられなくて、そんな時に吉田選手と初めて一緒のレースに乗ったんです。そこで心を打たれるものがあって。「私、この人みたいになりたい」って心底思ったんです。レースも、ターンも、考え方も。それでレース後に改めてお願いしたら「じゃ、見るわ」となりました。それからなんです。1着を取れるようになったのは。
馬場:惚れこんだ上でお願いしたから、きっと効いたんでしょうね。
白河:会ったことない人からのお願いをきちんと断るあたり、むしろ誠実な師匠ですね。
馬場:なんか恋愛みたい。誰でもOKとかじゃなくて。
小野:そうか! なるほど(笑)。
柴田:今でも師匠の吉田選手は電話でアプローチしたことを覚えてるんですか?
小野:いいえ、覚えていないハズです。あまり思い出させないようにしています(笑)
馬場:でも、ちょっと意外なんですが、勝てなかった時期が長かったんですね。
小野:はい。もともと成績はすごく低かったんで、ちょっと上がっただけで周りから褒めてもらえて(笑)。
――では最後に、クイーンズクライマックスへの想いをお願いします。
小野:去年はケガもあって、実力を出し切れず悔しい思いをしました。今年は大晦日の12レースまで残って、地元ファンの前で優勝したいと思っています。私、初勝利まで2年くらいかかっているんですが、新人の頃、勝てなかった私を支えてくれたのは熱心なファンの方々の存在でした。その方たちに報いるためにも「いいレースをして恩返しをしたい!」と思って走ります。
一同:私たちも全力で応援します!
(了)
●小野生奈選手も出場するクイーンズクライマックスってどんなレース?
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●ボートレース福岡
博多の繁華街である天神からは徒歩で約10分、JR博多駅からも電車を使って15分という好立地にありアクセスは抜群。福岡県福岡市中央区那の津1丁目7-5 最寄り駅:地下鉄「天神駅」、もしくは西鉄「福岡(天神)駅」
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取材・文/長谷川大祐(本誌) 小島克典 撮影/赤松洋太