マエケンの契約が安いのは「体が小さすぎる」から!? リアルな海外の反応と、活躍へのカギを探る
前田健太投手がロサンゼルス・ドジャースと8年総額$2500万ドル(約30億円)で契約――。2016年の球界は、この大ニュースから始まった。各メディアやネット上では「契約年数に対して金額が安い」という声を目にしたが、何故ここまで前田の契約が安くなったのだろうか? 海外の前田評を見ていこう。
212ポンド(約96.1キロ)。これが前田の入団するドジャース選手たちの平均体重である。前田の身長182cm、体重81kgという数値は日本プロ野球では平均的な体格に見えるが、同じ日本人メジャーリーガーと比較してもあまりに薄い体だ、という指摘が米メディアのBleacher Reportではなされている。
ドジャースの先輩でもある黒田博樹投手(広島)は93kg、前田より身長の低い田澤純一投手も約90kgと、第一線で活躍していたピッチャーは皆がっしりとした体格。もちろん、メジャーではジェシー・チャベス投手(アスレチックス)のように約72kgという軽い体重ながら活躍する先発投手もいるが、近年の日本人投手はダルビッシュ有投手(レンジャース)のように、もともと大柄でさらに体重を増加させた選手が活躍している。そんな彼でさえも、2015年はケガでシーズン全休という結果に。より日本人投手の「耐久性」が重要なポイントとしてスカウトは見ているはずだ。
コントロールが自慢の前田。しかし、メジャー入り直近3年間の日本での成績を比較した場合だと、奪三振能力やコントロールは前田よりも田中将大投手(ヤンキース)の方が高く評価されている。
武器であるスライダーは「メジャーの先発として平均以上」と評価を受けている一方、ストレートの平均球速が90マイル(約146キロ)という数字は、メジャーの右腕先発としてはやや物足りないモノ。こうした理由から、基本給が3.75億円/年と他の日本人メジャーリーガーと比べると見劣りする評価が下されたのかもしれない。
前田にもチャンスはある。近年、MLB投手の平均防御率は年々減少の一途をたどっているからだ。野茂英雄投手がメジャーに移籍した1995年は平均防御率が4.45だったが、その10年後の2005年には4.29。2015年は3.96にまで数字は下がり、いわゆる「投高打低」現象が続いている。
また、前田は日本では左打者を苦手としていたが、メジャーのストライクゾーンも年々左打者の外角が広く取られるよう変化している。昨年は、通算503HRのスラッガーであるデビッド・オルティーズ選手(レッドソックス)が試合中に外角のストライクゾーンが広いことに抗議し、主審に退場させられるという事件も起きた。
1月4日時点ではまだ正式な入団アナウンスは出ていないが、契約内容に再度契約を結び直し、年俸を引き上げることが出来る「オプトアウト条項」が含まれている可能性もある。もし、斎藤隆投手(元ドジャースなど)がメジャーのストライクゾーンに適応したように、前田もメジャーに適応できれば評価を覆すことが出来るだろう。
取材・文/石橋和也(Far East Division)
マエダは体が薄すぎる
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