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プリンスの急死に世界が号泣。どこがそんなに凄いのか?

 去る4月21日(現地時間)、57歳の若さで急逝したプリンス。アメリカCNNは、速報から番組編成を変更して対応。マイケル・ジャクソン以来の、衝撃的な死だった。

プリンス

『Controversy』(1994)

 誰もが認める天才アーティストだった故人に、ポール・マッカートニーやミック・ジャガーといった多くの大物ミュージシャンが哀悼の意を表明した。とりわけ、顔を小刻みに振るわせて涙をこらえるスティーヴィー・ワンダーの姿は、あまりにも痛々しかった。

驚くほどシンプルな音楽の構造


 とはいえ、よほどの音楽好きでなければ、“一体プリンスのどこがすごいのか”は分かりにくいはず。「ロック、R&B、ソウル、ファンクを融合した」とか、「あらゆる楽器を操り、作詞、作曲からプロデュースまでを手掛けるマルチな才能」とかいった言い回しで、何となく納得させられてしまっているのが現状だろう。

 もちろん、そうした表現が示すように、プリンスの音楽にはおびただしい数の情報が詰まっている。アメリカのロック評論家・グリール・マーカスは、それを「記号の迷路」と称した。

 けれども、一方で楽曲そのものに目を向けると、基礎構造は驚くほどシンプルだと気づく。言葉とメロディを組み合わせるソングライティングの第一段階において、余分な細工がほとんど見当たらないのだ。

 というわけで、“迷路”の影に隠れがちなレス・イズ・モアの魅力あふれる楽曲を、いくつか紹介していきたい。

1.「The Most Beautiful Girl In The World」
一つのメロディが繰り返される
http://youtu.be/KmqSi7lulMM
 95年のアルバム『The Gold Experience』から。プリンス史上、最も軽やかでかわいらしいポップソングだが、聴けば歌い出しから終わりまで、一つのメロディが繰り返されているだけだと分かる。

 音符にしてしまえば、AメロもBメロもサビもブリッジも変わりはない。にもかかわらず、そこには紛れもなく展開がある。聴き手に場面が変わったことを告げる仕掛けがある。

 その役割を果たすのが、フィリーソウルの名曲「La La Means I Love You」を倍速にしたようなイントロと、<Could U be the most beautiful girl in the world?>から始まるコーラス部でのみ添えられるハーモニーだ。

2.「When Doves Cry」
わずかな音数のメロディー
http://youtu.be/pYVOrzv61Yg
 「ビートに抱かれて」の邦題でもおなじみ、84年の大ヒット。

 この曲について興味深い分析をしているのが、トッド・ラングレン。

 バックトラックを作り上げた後ヴォーカルパートに取り掛かり、そこからメロディの幅を広げていくのが自分のスタイルだと語っているのだが、その反対の例として挙げたのが「When Doves Cry」だった。

<あの曲のすべてのメロディーを形成するのは、わずか二つの音(笑)>(『インスピレーション』 ポール・ゾロ 著 丸山京子 訳)。

 まさに、“たーこ たーこ あーがーれ てーんまーで あーがーれ”(「たこ たこ あがれ」)の境地だ。

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種明かしをしないまま逝ったプリンス

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