「視覚障がい者柔道」はスリリングでおもしろい。金メダリスト正木健人選手がその魅力を語る
開会までいよいよとなったリオデジャネイロ五輪。そちらももちろん気になるところだが、その1か月後の9月7日からスタートするリオデジャネイロ・パラリンピックにも見逃せないアスリートが出場している。注目の日本人選手を紹介しよう。
大会では、圧倒的な存在感を放つ。191cm、150kgと恵まれた体格から繰り出される投げ技は豪快そのもの。100kg超級の正木健人選手だ。ロンドン・パラリンピックでは金メダルを獲得、リオで連覇を目指している。
生まれつき弱視だったが、もともとは健常者の柔道に打ち込んできた。始めた中学時代から活躍し、名門の天理大学に進み、当時柔道部の監督だった篠原信一氏に指導を受けたこともある。卒業後は警察官か刑務官になろうと思っていたが、そこで視力が壁になった。学生時代に視力低下が進行したからだ。将来どうすればいいのか途方に暮れたとき、紹介してもらった盲学校の先生から「パラリンピックで優勝を目指さないか」と誘われた。
「あるのは知っていました。でもそれまでは、ほとんど注目していませんでした」
いざ始めると、印象はガラッと変わった。
「初めて合宿に参加したとき、視覚障がいの人たちと触れ合って今までにないくらい居心地の良さを感じたんです。目に障がいのない人たちといるときは、自分がそこまで目が悪いと思っていなかったこともあって、空気を合わせないといけないというか、見えているふりをしていました。でもそういうことをしなくてよかった。自然体でいられたんですね」
運命的な出会いだった。
猛き柔道の第一人者は、パラスポーツの未来をも考える
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