社会保障料の世代間格差9000万円を正す方法【後編】

増税、年金負担増、雇用の不安定化etc.と、今の若い世代をとりまく環境は悪化する一方。そんななかで、「若者を優遇することこそ日本を復活させるカギ」と主張する論者がいる。12/26発売の週刊SPA!「増税よりも経済成長戦略 若者優遇政策が日本を復活させる!」では、収入・社会保障・雇用の面からその理由を解説。ここでは、そのなかから一橋大学准教授の小黒一正氏が解説する「社会保障料の世代間格差を正す方法」を紹介しよう。

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「世代ごとの社会保険料の受益と負担の差額について内閣府がまとめた結果を見ると、60歳以上がプラス4875万円であるのに対し、20歳未満の将来世代はマイナス4585万円になっています。60歳以上の世代と将来世代とでは、約9000万円の世代間格差が生じているのです。

それに対して、この事前積み立て方式を導入すれば、中高年の方々の追加負担も少ない形で、世代間格差が約3000万円にまで改善されます。しかも若者世代が抱く不公平感が消え去れば、老後への不安から貯蓄をしていた分が消費に回る効果も期待できる。デフレ対策としても有効なのです」

しかし、事前積み立て方式の導入は追加負担を伴う。選挙で政治力をもつ中高年世代は改革を先送りして、ツケを若い世代や将来世代に先送りする誘因をもつ可能性もあることから、これが実現の大きな障害となるだろう。

「政治家は次の選挙で勝つことが最優先課題です。そして若者の投票率は低く、高齢者になるほど高い。また、高齢者の有権者数はこれから益々増えていきます。そのため、事前積み立て方式を含む財政・社会保障の抜本改革を、政治家の側も打ち出しにくい事情があるのです。

いま求められているのは、中高年の票が激減するリスクを恐れず、若者のためになる政策を訴えることができる、勇気ある政治家です。選挙に行かない若い世代は、実は非常に損をしています。少しでも政治に興味を持ってもらえれば、現在の中高年・高齢者優遇の社会を変えられるのです」

【小黒一正氏】
京都大学理学部卒、一橋大学大学院博士課程修了(経済学)。大蔵省(現財務省)や世界平和研究所主任研究員などを経て、’10年より一橋大学経済研究所准教授。専門は公共経済学。共著書に『日本破綻を防ぐ2つのプラン』(日経プレミアシリーズ)『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)などがあるなどがある。

取材・文/横田一

※12/26発売の週刊SPA!「若者優遇政策が日本を復活させる!」より

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