更新日:2016年08月22日 06:44
スポーツ

男子マラソン・カンボジア代表 猫ひろしをリオで直撃。レース前の心境は?

選手村ではボルトとも交流

――選手村では、日本の選手や他国の選手とも交流があったそうですね? 猫:日本の選手ともよく会い、ご挨拶はさせてもらっています。ボルトとも写真を撮りました。食堂に行ったときにすごい大きな人が並んでいるなと思ったら、背中に『JAMAICA』って書いてあったのでボルトかなと。そのときは、まだほかの人はボルトがいることに気づいていませんでした。だから、僕はすでに食事を終えていたのですが、もう1回トレーを取って近づいたんです。でも、すぐにボルトがテーブルに着いてしまったので、もう1度立つまでヨーグルトを何回も食べながら待って、立ち上がったところで自撮りさせてもらいました(笑)。結構、気さくにみんなに対応してくれていました。 ――2人でツーショット写真ですか? 猫:いや、それが…… かなりギャラリーが入ってしまい。それに恥ずかしいことに、焦っていたので撮れた写真はブレブレでした(笑)。 ――治安や環境、衛星面の問題も話題となっていますが、五輪のムードは楽しめていますか? 猫:選手村はやっぱり独特な空気がありますし、普段は入れるところではないので、いろいろ目新しいこともあるので、楽しんでいます。すでに報道されている通りアクシデントもあるんですが、それも含めて楽しんで生活しています。 ――部屋はどんな感じなのですか? 猫:カンボジアの水泳選手、21歳のヴィジャー選手と一緒の2人部屋です。マンションの4LDKみたいなところをカンボジア代表の5人で使っています。でも、ヴィジャーはすでに競技を終えていて、毎日やたら深夜に帰ってくるんです。若いですからね(笑)。カンボジアチームは僕も8月8日が誕生日だったのでしてもらったのですが、誰かの誕生日や競技が終わるとみんなでパーティーをするんです。だから、毎日何かの宴の繰り返し。さすがに僕のマラソンは最終日なので、最近はその部屋に近づかないようにしています(笑)。 ――天井から電気が落ちてきたとツィートされていましたが、ほかに何かアクシデントは? 猫:ランニング途中に、急にお腹が痛くなってトイレに行ったら、まず入った個室に便座がなかった。そして、別の個室に入ったらこんどはカギが壊れていて、結局用を足せませんでした(笑)。ブラジルで何が起きるか分かりません。 ――開会式ではカンボジア選手団の一員として、紫色のユニホームを着て行進しました。笑顔も弾けていたように見えましたが、反響などはどうでした? 猫:知り合いからは映ってたよ、とか、笑顔だったよとか、かなりの反応があったのでびっくりしました。ただ、開会式の入場はアルファベット順なので、「C」から始まるカンボジアはかなり早かった。入場してからが相当待ちましたね。正直、待ち時間が長かったです(笑)。 ――改めてマラソンに向けた目標をお願いします。男子マラソンは五輪の花形競技のレースとして、大トリになります。 猫:リオのコンディションもあるので、それに対応して走りたいと思います。自己ベスト(2時間27分52秒)の更新? この気温だとそこを狙うと潰れてしまう可能性もあるので、そこは状況を見ながら場合によってはラップタイムを下げたりして調整したい。自分の持っている実力しか出ないと思うので、そこは無理せずにちゃんと練習したことを出したいと思います。女子のレースを見ても、暑さで激しいレースになることを覚悟したので、気合いが張りました。 ――所属するワハハ本舗の先輩たちからは何か励ましとかはあったのですか? 猫:久本(雅美)さんや柴田(理恵)さんたちからは全員で応援してるぞ、みたいな写真を送ってもらいました。でも、返信はいいからと気を使ってくれているんですけど、どうやらその写真はお酒の席らしく。うれしかったのですが、僕は節制中ですし、もうちょっと気を使ってほしかったです(笑)。 ――帰国したらご馳走してもらえるのでは? 猫:ここまで節制してきたので、最後はそういうことも考えながら走りたいと思います。やっぱりそういうのがないと頑張れないので。 ――日本へ帰ってまずしたいことは? 猫:まずはことしはほとんど仕事をしていないので、仕事がしたいです。貯蓄がそろそろ……。このままだと家族が露頭に迷ってしまいます。あとは美味しいものが食べたいですね。レース後は1度カンボジアに戻るので、そこで何も考えずにゆっくりお風呂やサウナに入りたいです。 周囲では「最初だけ飛び出せ!」とか勝手な意見もあるが、本人は「その手には乗りません!」と至ってマジメにレースに臨む覚悟だ。女子マラソンのスタート&ゴールの会場となったサンボドロモでも、強い日差しが照りつけるなか、1人隣のアップグラウンドで黙々とランニングで調整を続ける猫ひろしの姿は印象的だった。 決してギャグではない。「ニャー」と叫ぶのはゴールしてから。マラソン・カンボジア代表として五輪出場権を手にした“猫ひろし”の走りに注目だ。 取材・文・撮影/栗原正夫
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