警備会社・BONDS SECURITYが語るアイドルフェス警備の舞台裏「アイドルオタクとも絆を強めていきたい」
厄介ピンチケが「他の奴もやっているじゃねぇか! なんで俺だけなんだ!」と突っかかってきたときは、「そうかもね。でも、俺の前であなたが暴れていたのも事実でしょ」と冷静に対応。「法的根拠は何だ?」と聞かれても、スタッフ全員が淀みなく答えられなくてはいけない。万一、そういったときに「なんでお前にそんなこと言われなきゃいけないんだ!」などとキレたらアウトだ。
「正直、我々もアイドル文化について不勉強だったのかもしれない。どのグループで荒れるのか把握していなかったし、“この曲でこんなに暴れるの?”と戸惑うことも多かった。そのへんは現場で臨機応変に対応するしかなかったです。今回のイベントで暴れた人っていうのは、1人ずつを取り上げてみたらものすごくおとなしい人たちだったと思う。だけど、あれだけの人数が集まると群集心理でとんでもないパワーになる。今回の件で痛感したのは、特にアイドル現場の場合、肉体だけでなく“対話力”も鍛えないとダメということ。まずはコミュニケーションし、向き合って話すことで見えてくることがあるはずですから。アイドルオタクの方とも対話を続け、連帯の道を模索していきたいですね」(前出・O氏)
長時間に渡る警備を終えて、最初はBONDSを目の敵にしていた厄介ピンチケからも「話せばいい人たちだった」などという声が上がるようになった。まるで昭和の青春ドラマのような一幕である。敵対から和平へ――。両者が新たな関係に突入しているのは間違いなさそうだ。〈取材・文/小野田 衛〉出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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