雑学

生活保護申請を拒否する水際作戦は違法。問題を解決する一番の近道は?

 “小田原ジャンパー事件”を機にあらためて注目される生活保護。不正受給対策ばかりが叫ばれるなか、この問題を解決する方法とは――

問題解決には法に則った姿勢に立ち返るべき


生活保護「生活保護受給権は憲法25条の生存権に由来するもので、困窮者への生活保護給付は行政の義務なんです」

 こう話すのは、首都圏生活保護支援法律家ネットワーク事務局長の森川清弁護士だ。

「本来は生活に困窮しているならば無差別平等に生活保護を利用できる。その要件は、『国民または一定の範囲の外国人』『要保護状態(国が定めた保護基準を満たさない)であること』『保護の申請がなされていること』『稼働能力の活用・資産の活用がなされていること』の4つ。これを満たしていれば、誰でも保護を利用できるんです。申請意思が表明されれば速やかに必要な援助をすることも生活保護法施行規則で定められています」

 つまり、最近相次いで問題となっている、福祉事務所が生活保護申請を拒否する水際作戦は、そもそも違法というわけだ。また、ここ数年で生活保護基準の引き下げや生活保護法改正で受給しにくくなっているのも問題だという。

「こうした流れには社会の生活保護バッシングも大きく影響しているでしょう。バッシングする人も行政側の不当な対応も偏見や差別に根ざしているもの。ですから行政側が本来の理念に沿って生活保護行政をしていくことがまず必要です」

 生活保護を受給する権利は、日本で暮らす人々に与えられた最も重要な権利の一つ。その大前提に立ち返ることこそが、生活保護にまつわる問題を解決する一番の近道なのかもしれない。

【森川 清氏】
’61年、東京都生まれ。’88~’02年まで葛飾区福祉事務所でケースワーカーとして勤務。’03年に弁護士となり、貧困問題などを中心に取り組んでいる。森川清法律事務所代表

取材・文/古澤誠一郎 加藤カジカ 鼠入昌史(Office Ti+) 林 泰人(本誌) 取材・文・撮影/加藤 慶(スタジオKEIF)
― [生活保護]のリアル ―

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