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あの事件がなければ、“ノンスタの漫才”は終わっていた――ユウキロック×ノンスタ石田

石田:そうなんです。僕は、松口さん(ユウキロック)がどう思ってるのかわかんないですけど、ハッキリ言って、漫才というのは、ツッコミのもの。 ユウキ:俺もまったく同じ考えや。 石田:ツッコミ次第で、漫才って豹変する。ボケって、そんなに伸びないと思ってるんです。いろんな芸人の過去の映像とかを見てもらったらわかると思うんですけど、ボケの人って、あんまり変わんないんですよ。でもツッコミの人を見れば、「これは古いやつ」「これは新しいやつ」ってわかると思うんです。 ユウキ:何もないところで、その人がツッコミを入れただけで笑いが起きるっていうのが、俺は“腕”やと思うねん。誰かが何かをしたからツッコンだなんて、プロの芸人やったら当たり前。だから、何もないところで「なんであんなウケんねん」みたいな笑いをとれる存在がツッコミやと思っとる。要するに、ボケって主観だと思う。ボケ方が形になってくると、それがいわゆる“NON STYLEの形”であり、“ハリガネロックの形”でもある。そこから、もっと向上させようとするならば、ツッコミの力量に掛かってくる。ワードセンスもしかり。だから、そこをツッコミが考えてくれないとコンビとしても育たないというか……。 石田:ツッコミ側ができることが増えたら、ボケ側が出来ることも増えたりする。多分、その繰り返しなんですよね。でも、一般の方はボケを見ても違いがわからない。一方で、ツッコミはあからさまにわかる。 ユウキ:だからツッコミって、「このボケを笑かしたろ」と思ってるヤツと、そうじゃないヤツの差って、すごくあるよね。 石田:一矢報いて欲しいんですよね、こっちに。 ユウキ:そう。一応、我慢してんねんで。ボケなアカンから我慢してんねんけど、プッとさせてほしいもんね。 石田:そんな熱量が1ミリもなくなった井上なんかね……いや、ツッコミはうまいと思うんですけどね……ハッキリ言って、漫才師としての価値がないと思っていました。それで、じつは結構シビアなことも言ってたんですよ。「そんなに嫌なんやったら、来年は漫才の仕事、もう全部断っていいで」って。 対談-11ユウキ:おお……。 石田:俺は俺で別に仕事があるし。テレビのことだけやって、それだけで食っていけるんやったらええやん。そしたら、アイツも「いや、それはまたちゃうやん」と言う。でも「漫才をやりたくないのは、俺へのリスペクトがないわけでしょ」っていう話をして。 ユウキ:石田はネタも作ってるしね。 石田:それでもういいよってなったら、マネージャーが止めに入って「ちょっと冷静になりましょう」って。こっちは冷静に言ってるのですが。 ユウキ:NON STYLEはお客さんの動員力もあるしさ、看板をもってもらわなアカンから。ほんで、吉本興業に会社として間に入ってもらった矢先ぐらいのときに、そういう事件が起きたんや。それで、心を入れ替えようっていう機会になったと。 石田:まあ、今はとりあえず、漫才を頑張っていますけどね。とりあえずね(笑)。 ユウキ:いやあ、頑張ってくれるはずだから大丈夫よ、もうこのイベントに井上呼ぶわ!

井上のキャラを見出したのはユウキロックだった!?

石田:これ覚えているかわからないですけど、井上のキャラを見出したのは、ユウキさんとテンダラーの浜本さんなんですよ。 ユウキ:あら、そうなん? 石田:僕たちが、若手1年目、2年目ぐらいのときでした。井上の“イタさ”を、最初に首根っこ捕まえたのが、ユウキロックさん。めちゃくちゃいじり倒して、最初は井上も不機嫌だったんですよ。「俺はそんなんじゃない」みたいな。 ユウキ:まあ、アイツの本意じゃないもんね。 石田:でも、そんなプライドもコテンパンになるぐらい笑いを取りまくって。そしたら今度は、井上がいい気分になっちゃって(笑)。とにかくウケるから、僕がそういうネタを作っても受け入れてもらえるようになったんです。 対談-12ユウキ:そうだったんだ。じゃあカレンダーか知らんけど、俺が20%ぐらいもらわないと(笑)。でも前に、井上がUWFの田村潔司選手に似ているとも言ったんだけど、それはまったくウケへん……。 石田:ずっと言ってますよね。 ユウキ:俺がプロレス好きなだけで、全然ウケへん。そして、今日もあんまウケてへん(笑)。いつかは井上に赤パンを穿かせたい。ともあれ、今日は話ができて、本当に良かったわ。NON STYLEが自分と同系統の代表だと思ってるから。かつてハリガネのライバルだった中川家とか倒してよ。 石田:僕は本当に勝ちたいと思っているんで。 ユウキ:やっぱり同じ舞台、同じ時間に立つとき、シノギを削ったほうが、結局はみんなが得するから。 石田:お客さんには、NON STYLEが誰よりも面白いと思って帰ってもらいたい。 ユウキ:絶対に勝ってよ。前回、中川家がこの対談に出たときに、「あのときのすごかったネタ、最近はなんでやらへんの」って聞いたの。そしたら、「いや、もうワシらは歳だからでけへん」みたいことを言ってたからさ。これからも井上と力を合わせてね。ムカつくこともあるだろうけど、続けてください! ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1351383 対談-13 <取材・文/藤井敦年、撮影/林紘輝>
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト

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