【タイプ別】上司の攻略法
「また、書き直しか……」。数時間、数日費やした企画書が、上司のひと言で紙くずに。こんなやるせない瞬間、ビジネスマンなら一度といわず何度も経験したことがあるだろう。どうすれば上司の首を縦に振らせることができるのか? 部下目線からの上司管理術を解説した『上司取扱説明書』が人気の人材コンサルタント・藤野祐美氏は、「まず“上司幻想”を捨てることが大切です」と語る。
「『上司は自分よりも仕事ができて当たり前』『上司の言うことは絶対』と思っていませんか? それは大きな誤解です。上司も人間。研究者のように、内容を精査して判断しているとは限りません。むしろ、内容よりも提出方法に問題があるケースのほうが多いくらいなのです」
つまり、無理めな企画書でも、提出方法を変えるだけでスンナリ通ることがあるというのだ。藤野氏は、簡単には「YES」と言わない上司のタイプを6パターンに分類。それぞれに適した提案方法を紹介する。
「『完璧型』は、オレ流に染まっているかどうかが判断の最重要ポイント。顕著な例だと、ホチキスの留め方や書類を置く角度が違えば、内容以前に『NO』と言われてしまいます。ですから、逆にそのこだわりを汲みとってあげることが大切です。また、優柔不断な『先送り型』には、本命の企画1本のほかに、通らないダミーの企画を2~3本セットして提出しましょう。選択の幅を狭めて、問題を簡単にしてあげればいいのです。『攻撃型上司』を説得する場合は、『~~とお考えなんですよね』と、自分の主張をあたかも上司自身の考えであるかのように錯覚させるテクニックが使えます。『混沌型』は、たとえ言質を取ったところで、いつひっくり返されるかわからないので、極力細かい単位で逐一確認しておくこと。『介入型』はとりあえず何か言わせておけば、仕事した気になってくれます。『不在型』は、“いない前提”で臨む姿勢が大事。重々しい空気には敏感ですから、重要な提案ほどサラッと持ちかけるのがポイントですね」
⇒さらに詳しい「上司のタイプ別特徴」はこちら
https://nikkan-spa.jp/146011
さらに、この6つのタイプとは別の分類として、「視覚派か、聴覚派か」という判別も重要だという。
視覚派はメールやメモを、聴覚派は直接の会話や電話でのやり取りを重視する。メールで返事を催促しても梨の礫だったのに、電話をしたら即答だった、という事例は往々にしてある。
「さらに上司の置かれた状況にも注目すると、成功率はますます上がるでしょう。今、上司が一番興味を持っているのはどの分野か? そもそも上司が理解できる範囲の内容か?などです。くれぐれも上司にはその上の上司がいることをお忘れなく」
所詮、上司と部下を繋ぐものは“仕事”だけ。余計な“上司幻想”を捨て、冷静に観察していけば、必ず突破口が見えてくるはずだ。
【藤野祐美氏】
Y’sオーダー代表取締役。コニカミノルタ、P&Gなどを経て独立し、人材開発・組織開発コンサルタント事業を展開。著書『上司取扱説明書』が話題に
― 無理難題に「YES!」と言わせる 目からウロコの交渉術【1】 ―
『上司取扱説明書』 ダメ上司に泣く、すべての働く部下へ捧ぐ。 |
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