「飲食店に糞尿をバラまかれた…」 弱体化してもヤクザはヤクザであることを忘れてはならない
’08年の暴対法施行、さらには’11年に暴排条例が全国で施行されて以降、暴力団の居場所はどんどんと狭くなっている。
「日々の暮らしのなかで、一般市民がヤクザとのトラブルに巻き込まれることはまずありません。もし仮にトラブルになっても、適切な対処をすれば、大丈夫です」
こう語るのは、いわゆるミンボー、民事介入暴力を専門に取り扱う別所司弁護士だ。
「今の時代、ヤクザ相手でも一般的なやり方、つまり正攻法で十分通用するんですよ。戦う前には管轄の警察に一報入れておくといった一手間は必須です。一報を入れておけば、揉めた際に速やかに警察は動いてくれます」
別所弁護士は以前、暴力団が借りている駐車場の明け渡しを求める裁判を手掛けた。その際も警察と連携することで立ち退きに伴うトラブルもなく、組側はすんなりと明け渡したという。
「立ち退きの内容証明を送ったときは電話ですごまれましたが、最終的には明け渡しを求める裁判を行うことになりました。しかし、負けるとわかっているヤクザ側につく弁護士は少ないんです。組側は誰も出廷せず、明け渡しを命じる判決が下されたのです」
だが、問題は実際に明け渡しをさせる際の嫌がらせなどのトラブルだ。
「警察には経緯を逐一報告していましたので、組側にも電話でいろいろと“釘を刺して”くれました」
ヤクザ相手でも、法に則って粛々と戦えばいいのだが、注意は必要だと別所弁護士は指摘する。
「正攻法が通じるといってもやはりそこはヤクザ。何をしてくるかわかりません。相手も法律的な知恵を持ってます。刑法的には軽いけどダメージのデカい嫌がらせを受けるケースもあります。飲食店に糞尿をバラまかれたケースがあるのですが、この行為自体、刑法的にはそんなに重くはないのです。でも、店にとっては閉店ものの大打撃ですよ」
法律によってがんじがらめになったヤクザではあるが、相手は法の外の人間。自分でトラブルを解決しようとするのは危険なのだ。
【別所 司弁護士】
RJ法律事務所所長。弁護士会の民事介入暴力対策委員として民間人がヤクザとのトラブルに巻き込まれた際の解決を多く手掛ける
取材・文/SPA!ヤクザ問題取材班
― 素人にハメられる[ヤクザの悲劇] ―
弱体化してもヤクザはヤクザであることを忘れないように!
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