高学歴で大企業だったのに転職に失敗する人が急増!?――5年以内に破滅する人のシナリオ
近年、『未来の年表』『縮小ニッポンの衝撃』『限界国家』ほか、日本の近未来を予測した書籍が話題だ。2020年の東京オリンピック前後を転換期として、少子高齢化やグローバル化が加速。この5年の行動の差は将来の明暗を分けるだろう。破滅をもたらす選択ミスを回避するためにはどうするべきか? まずは「会社を辞めて破滅する人」はどのような要因からそうなるのか、検証してみよう。
「“残業代ゼロ法案”が、いよいよ今国会で提出されます」と言うのは、労働問題に詳しいジャーナリストの溝上憲文氏。
「残業代をカットされる人はすでに増えていますが、この法案が通れば“残業代を支払わなくてもいい社員”が発生する。これまで反対の急先鋒だった連合が条件付きの修正案を安倍首相に持ちかけたため、いよいよ現実味を帯びています」
この影響をもろにかぶるのが40代だ。
「人生で最もカネがかかるステージでの収入減に、奥さんからの突き上げも厳しい。求人市場の好況にも押され、起死回生の転職を図って会社を辞める人が急増するでしょう」
会社員の給料が今後ますます削られていくのは既定路線。一方、求人市場はバブル期並みの“売り手市場”。「転職して収入アップするなら今しかないのでは?」と考える人がいてもおかしくはないが、「その発想こそが破滅への第一歩」と識者たちは口を揃える。
「確かに求人は多いんですが、その多くはいわゆるAIやIoTといった新しい分野のエンジニアなど、限られたジャンルの人たち。人材がいないから求人が多いわけで、普通の会社員ではなかなか応募できませんよ」(溝上氏)
そもそも、アラフォー以上が転職で成功するには“高度な専門性”が必須だが、日本の会社員の多くはゼネラリストとしてキャリアを積んできている。「初めから土俵に上がってはいけない人が大半です」と言い切るのは人材コンサルタントの小林毅氏。
「それなのに、マーケットに対して自分は売れるのかという検証をしないまま転職しようとする人が多すぎる。高学歴で大企業勤めの人にありがちなんですが、自己評価がやたら高いんです。『今の年収が1000万円だから、自分には1000万円の価値がある』と、ストレートに考えちゃうんですね。給料というのは会社の基準で決まるものであって、市場価値とはまるで違うものなんですが……」
このように、およびでない人たちが転職市場に出てきた場合、何十社も討ち死にしたあげくに、前職の年収3割減で再就職が決まればまだラッキー。
「より悲惨な末路をたどるのは、早々に転職を諦めて『起業』に舵を切るケース。割増金をもらって早期退職した人は、小金を持っているだけに『これを元手に起業しよう』と安易に考えがちです。中でも目立つのがコーチングやセミナーで稼ごうとする人たち。これまた大企業出身者にありがちなんですが、大企業にいただけあって彼ら自身は意識が高い。しかし、世の一般のサラリーマンはコーチングに月1~2万円も払ったりしません。期待に反してニーズがないというのを独立後に知ってしまい、焦っている人は多い」
1年もすれば退職金はすっからかんに。40歳を過ぎて1年間もブランクがあけば、前にいた業界での再就職も厳しくなってくる。
「残された道は、介護職や警備員などの肉体労働。ここで脱落したら後がないと、体にむち打って心まで病むケースも」(小林氏)
人生、一回つまづいたら転がり落ちるのはあっという間なのだ。
【こう備えろ!】
高度な専門スキルがない限り、なにがあっても会社を辞めるな!
8/22発売の週刊SPA!に掲載されている特集『[5年以内に破滅する人]のシナリオ』では、ほかにも「病気になって破滅する人」「親の介護で破滅する人」「家を買って破滅する人」「子どもの教育費で破滅する人」「資産運用で破滅する人」などの近未来予測を識者が分析。この5年に起こりうる激動の転換期をどうサバイブするか、すべての答えがここに掲載されている。
【溝上憲文氏】
ジャーナリスト。人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして取材・執筆を行う。著書に『人事評価の裏ルール』(プレジデント社)
【小林 毅氏】
ホライズン・コンサルティング代表。3度の転職を経て’06年よりヘッドハンターに。現在は人材紹介業の傍ら講演や研修を行う。著書に『成功する転職「5%」の法則』
<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
5年でこうなる:給与カットに耐えかねて会社を辞める人が激増
破滅のシナリオ:退職金を元手に起業→失敗してフリーターに……
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