マリファナを吸っても“何も起こらない”体質の人もいるって本当?
来年1月よりカリフォルニアで本格的に解禁されるマリファナ。日本ではなかなか馴染みのないものだが、はたしてどういう効果がもたらされるのか? 実際に一本吸ってみた体験を在米ライターがリポートする。
マリファナには、精神活性作用があるTHCという成分が含まれている。マリファナでキマるのはそのためだ。
あるとき、マリファナ未体験の私は、誤ってTHCの精油を大量に飲んでしまった。それは、キマるなんてもんじゃない量だった。鼓膜が痛いほど心臓がバクバクした。
でも、いつまでたってもなんにも起こらなかった。もしかして、私ってキマらない体質? その答えを得るべく、デンバー訪問を機にマリファナを試してみることにした。
マリファナ・ストアで、バドテンダーに事情を告げると、彼は、ふむふむと頷きながら一本のジョイントを差し出した。THC14.50~21.93%。初心者向きの一般的なものだという。
「たぶん、ハッピーになって笑いだしたりしますよ。2、3服で効果が出るはず。危険なので、決してひと晩で吸い切らないように!」
こうしてマリファナを手に入れた私が向かった先は“教会”。大麻解禁のデンバーだが、公共の場で吸うのは違法だ。逆にいえば、“私有地”なら合法なわけで、ダウンタウンの「国際カナビス教会」では、毎金曜夜に教会という私有地で私的パーティを開いている。
「初めてだ」と告げてパーティの輪に加わると、みんなの目が一斉に輝いた。芸者の水揚げを引き受けた旦那みたいな気分らしい。一服……何も起こらない。また一服……再び一服。でも、なんにも変わらない。4分の1くらい吸い終わったところで、「聞いたことはあるけど、こんな人もいるんだなぁ」とか言いつつ人々が引いていった。
その晩。私は、バドテンダーに禁じられた一本を吸い切った。でも、おんなじだった。ひとりシラフの私には、年増芸者の悲しみが少しわかったような気がした。
最近になって日本臨床カンナビノイド学会に出席する機会があったので、一連の体験を話すと、学会会員のある大学教授がこう解説してくれた。
「人間の体内には、カナビスの成分を受け取る受容体が存在します。しかし、ごくまれに受容体が少ない人がいて、あなたはそれに当たるのだと思います」
教授によれば、こういう人の受容体が激増することはまずないそうだ。ふーむ。
私は二度とマリファナに手を出さないだろう。マリファナには、野草のような、スカンクのような独特の臭いがある。“一夜で一本”の翌朝に、体中にまとわりついたスカンク臭さは筆舌に尽くしがたい。
取材・文・撮影/柳田由紀子、写真/アフロ
マリファナを一本吸うとどうなる?
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