弁護士・松本美樹氏が語る「だから、公職選挙法は時代錯誤なんです」
弁護士・松本美樹氏が語る
だから、公職選挙法は時代錯誤なんです
結局は、現職が有利になるように作られているからダメなんです
「そもそも公職選挙法は、”カネのかからない選挙”をスローガンに、選挙費用を抑える目的で作られているんです」
そう語るのは、今回、公選法について検証してくれた弁護士の松本美樹氏。実際、印刷代や郵送代がかかるビラやはがきの枚数が制限も、ネットで配布すれば、費用はほぼ無料ですむ。飲食物の制限にしても、今は下手すればおにぎりよりお茶受けの菓子のほうが高いケースもある。このように、公選法はどうも現代にはそぐわなっていているのに、なぜいまだに改正されないのだろうか。
「現行法は、現職議員に圧倒的に有利になっているからです。例えば、公示前の事前運動の禁止もそうです。現職議員は、”12日間”という短い選挙期間でも、知名度があるぶん活動しやすいですが、無名の新人候補は限られた期間内で自分の名を周知させるのは至難の技。つまり法で縛ることで新人候補への壁を高くしている。世襲が減らない理由のも、よくわかりますね」
さらに松本氏は、現行法の妙についても、次のように語る。
「ネットに関しては厳しいのに、候補者側からの電話については時間も含め何ら制限がない。メールより、夜の電話のほうがよっぽど迷惑ですよ(笑)。これも、現行法はそれで当選した人たちが作った法なので、自分たちが当選してきたロジックを変えたくないんでしょう。それに、多くの年配議員からすれば、自分の支持層にネットを使っている有権者は少数。でもネットを解禁すると、敵対候補の若手議員が有利になる可能性もあるわけです。要は浮動票を刺激したくないんですよ。ちなみに若手議員は与党も野党もネット推進派ばかりです。支持者が若い人ですから。まあこの機運なら解禁は近いと思いますが」
本気で世代交代を考えるなら、次は”ネット投票OK!”で!?
【まつもとみき】
弁護士。ヴァスコ・ダ・ガマ法律会計事務所所属。公職選挙法へ関心を促す目的で、NPO法人ドットジェーピーと共同で企画したブログ『公職選挙法と、わたし』を開設
NPO法人ドットジェーシー http://www.dot-jp.or.jp/
松本氏のブログ『公職選挙法と、わたし』 http://ameblo.jp/koushokusenkyohou/
取材・文/水越恵理子 高田純造 中尾 巴 港乃ヨーコ 樋口 淳(本誌) 写真/共同通信社 アンケート調査/メディアパーク
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