若者が信じる「大麻は無害」説はウソ!? 脳への悪影響は?
このカンナビノイドは細胞の中で自動的に作られ、脳のいたるところに存在するが、前述のとおり大麻の有効成分でもある。このため、大麻を吸引するとカンナビノイドが血流を通り、脳全体に広がってしまう。
「脳にはカンナビノイドの受容体を持つ報酬系が存在するため、吸引者は快感を得ます。ただ、それは脳のごく一部の話。脳の他の部分に広がったカンナビノイドは、神経回路を必要以上に破壊してしまう可能性が高いのです」
実際に、人間の体にはどのような悪影響が生じるのだろうか。
「大脳皮質は触覚、温度覚などを司っている部分ですが、大麻の吸引により、こうした神経回路が損なわれ、正常に働かないと知覚異常が生じる可能性も考えられます」
若者たちの間で、大麻が再び広まっていることについて、木村准教授は警鐘を鳴らす。
「カンナビノイドによって快感を感じている間にも脳が壊されている恐れがあることを、しっかりと肝に銘じてほしいですね」
【大阪大学大学院医学研究科・木村文隆准教授】
’89年、大阪大学大学院医学研究科博士課程修了。専門は神経科学。大麻が脳に悪影響を及ぼすことを世界で初めて解明し、’16年6月に米国科学誌に発表した
― 若者に大麻が復活している! ―
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