更新日:2022年12月10日 19:18
スポーツ

甲子園強豪校だけど“野球部じゃなかった”生徒たちの苦悩…智弁和歌山、桐蔭学園、横浜高校

 佐久長聖のように複雑な感情を抱えるのが桐蔭学園(横浜)だ。こちらも言わずと知れた横浜のマンモス進学校で、90年代は早慶・MARCHの合格数では全国トップの年も珍しくなかった。また、1971年の夏の甲子園では磐城高校(福島)との決勝戦で接戦の末、1−0で初優勝を果たしている。  この桐蔭学園、水嶋ヒロ(慶應SFC)やデーモン小暮、やくみつる(共に早稲田)など、有名人も次々排出している。  北関東の某県から桐蔭学園高校へ進学、寮生として3年間を過ごした女性(27歳)によると「野球部は生活習慣がまったく別だった」と振り返る。 「野球部とは無縁というより、そもそも男女別学だったので男女の交流はほぼなし。勉強漬けの毎日でした。水嶋ヒロや高橋由伸のように高校時代にスポーツで活躍して有名大学に進学する人もいますが、ほとんどの生徒がスポーツとは無縁の学園生活を送っています。最近は進学実績だけでなく甲子園や国立からも遠ざかっているので、ちょっと複雑な気分にはなりますが……正直自分にはどうでもいいですね」

同名の「聖光学院」OBからもクレームが

 このように、甲子園常連校OB・OGたちは野球に興味がなくとも、自分の卒業校のイメージを甲子園と共に一生語られる運命にあるのようだ。  なかにはこんな声も。 「福島の聖光学院は自分の高校とはまったく別。僕の出身校は神奈川のクリスチャン系名門私学聖光学院。何も知らない人だと、『甲子園で有名ですよね』と言われて修正するのが本当に面倒」(20歳・東京大学理科二類2年・男性)  毎年春と夏、甲子園のシーズンになると彼らは「今年も出てるね」と言われ続ける。野球には興味がないのにもかかわらず、メディアのせいで甲子園ネタを振られる日々。  たまたま進学した高校がマンモス私学だったばかりに襲う悲劇は想像以上に煩わしいものらしい。  今年も春の甲子園で沸く季節がやってきた。あなたが野球好きだからと言って、どうか職場にいる強豪校OBを甲子園ネタでいじるのはやめていただきたい。<取材・文/日刊SPA!取材班>
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