甲子園強豪校だけど“野球部じゃなかった”生徒たちの苦悩…智弁和歌山、桐蔭学園、横浜高校
今月23日より始まる、第90回記念選抜高等学校野球大会(通称:センバツ)。今年は出場校36校中、21世紀枠で出場する由利工(秋田)など10校が初出場となる。
毎年初出場校があるものの、多くの人は甲子園の代表校に名を連ねる強豪校が何校か思い浮かぶのではないだろうか。かつてならば大阪はPL学園(現在は休部)、現在ならば大阪桐蔭(大阪)や横浜高校(神奈川)が代表的かもしれない。
だが、言うまでもないことだが、こうした強豪校には野球部に所属していない「フツーの生徒」が在籍しているのも事実。彼らは、毎年春と夏の甲子園の時期になると、野球部とは違った気分を抱えているケースが少なくない。
さらに、高校を卒業した後も、甲子園の強豪校出身というだけで憂鬱な気分がついて回るという。
これは一体どういうことか。甲子園の強豪校のOB・OGたちに話を聞いた。
横浜高校OB・25歳
「中高一貫の進学校に落ちたので、近所だった横浜をすべり止めで受けただけ。別に野球は興味ないし、うまくもありません。大学は明治大学に行ったのですが、六大学野球リーグのイメージが強い大学ということもあり、ここでも出身高校を言うと『野球推薦?』と聞かれる始末。私としては単なるマンモス私学の男子校を選んだだけなのですが……」
智弁和歌山OB・30歳
「関東の人にはあまり知られていませんが、智弁和歌山は和歌山トップの進学校です。毎年東大には10人、医学部も50人ほど合格します。そもそも野球部と私たちはまったく教育プログラムが異なり、野球部はスポーツコースという1学年10人の精鋭部隊。アルプススタンドで応援している生徒たちは私を含めて進学校に行きたかったから智辯和歌山を選んでいます。何より困るのが、野球が上手いと思われること。現在入社した会社ではすぐに社内の野球部に誘われました。知名度が無駄に高いので面倒な会話は多いですね」
佐久長聖OG・24歳
こちらは長野県の私学。松商学園と並んで甲子園の常連校として知られるが、智弁和歌山と同様に文武別道の高校だ。
「毎年夏になると『今年も出るね。さすがだねえ』と職場で言われますが、こっちは野球興味ねーし!といつも思ってます。もともと大学進学を考えて中高一貫の佐久長聖に入りました。ちなみに、甲子園出場ではライバルの松商学園はマンモス私学なので事情はかなり違います。私が在籍していた進学クラスは東大に進学する人も珍しくありません。しかし、在校当時は野球部が強いせいで野球部が大学推薦枠をかなり取ってしまい、進学クラスはみんな野球部を恨んでましたね。正直、常にエラそうな野球部の印象はよくなかったです」
「今年も出るね。さすがだねえ」→野球興味ねーし!
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