「何も言われていなかった…」ハリルホジッチ前監督は日本人特有の気質に失望した
3つ目は「日本代表の結果について協会側から何も言われてない」こと。
「4月7日会長にホテルに呼ばれ『ハリル、残念だけどお別れすることになりました』と言われた時はジョークかと思った」と語った氏は、「昨年12月の韓国戦の大敗(1-4)で1度解任を考えたと聞いたが、西野朗氏から何ひとつ指摘は受けていない。問題を指摘してほしかった」と本音を漏らすシーンもあった。確かにハリル氏の語ることが事実であれば、協会側の対応には問題があるように思う。「政治はしない」と言い切る直情型の彼を思えば「次、敗けたら解任」のコミュニケーションの1つはあってよかったのかも知れない。
また氏は、W杯通過は1つのラインと考え、その後チームのステージを上げる「ツメ」を得意としているもと話した。であれば親善試合でも結果を求めようとする協会の考えと正反対にあったといえる。
当初1時間で収まる予定だった会見は、取材陣の期待を裏切ることなく結局30分もオーバーした。そして彼の紡いだ熱い言葉の中から事態の概要は見えてきた。
今回の一件は、日本人によくある「思っているけど、言わない」ことが事態を悪化させている気がしてならない。サッカー協会や会長がハリル氏の考える過程や求める結果を、都度確認していたら、ここまでの事態にはならなかっただろう。
予定時間を大幅に上回り、短く縮められた質問時間の中で取材陣の1人が「これからも日本代表を応援しますか?」と訊ねた。その答えは「私は日本の永遠のサポーターです。」だった。会見中、彼が得意と語った「ツメ」の部分を仕上げた、日本代表の戦いをロシアで見てみたかったと思う「90分間のラストマッチ」だった。
取材・文・撮影/福永大介(スポーツカルチャーラボ)
「思っているけど言わない」日本流のコミュニケーションの難しさ
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