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会社をすぐ辞めて“派遣”を選ぶ20代男性も…「ブラック正社員よりマシ」?

 “石の上にも3年”とはよく言ったものだが、入社後すぐに辞めてしまう若者が絶えない。果たして、彼らは、我慢の足りない“モンスター新人”なのか。その言い分に耳を傾けてみると、意外な声が聞こえてきた。

耐えることに何の意味があるのか?

 そもそも、働くとは何か、幸せな生活とは何か……。

退職届

使い捨てではない派遣を目指して


 東京都に住む派遣社員の桐谷さん(仮名・29歳)は、大学卒業後に勤めた超大手人材派遣会社を2年ほどで退職。テレビ局勤務経験者や出版関係者らとともに、主にクリエイティブ業界向けの人材派遣会社を設立した。

 周囲からは「まだ早すぎる」「人材派遣なんて儲からない」と独立を止められたが、桐谷さんには確固たる自信があった。

「派遣労働者とは、そもそも高度な技術や資格を持った人々が、それを武器にして定められた期間内に派遣先で働くという特別なものでした。とはいえ、実際は、派遣労働者は“使い捨て”であり、“未来のない人々”という感じになっちゃってますよね。でも、なかには本当にすごい人材がいます。だから、本来の意味で“派遣労働者”として働ける人々を育成すれば、誰もが幸せになれると感じたからです」

 大手派遣会社のサラリーマン時代に桐谷さんが感じたことは、派遣労働者は「いつでも切れて、安く使える人材」に成り下がっているという事実だった。

 実際、派遣労働者の多くは、正社員と同じような仕事でも、賃金は低く保証もない。だから派遣先企業への思い入れを抱けないし、当然、モチベーションだって低下する。その結果、派遣が奴隷のようになっていると指摘する。

 また、正社員の中でも格差は広がる一方だという。

「正直、正社員であってもそこがブラック企業だったり、上司や先輩が多すぎるために昇給や昇格が見込めず、悶々と働き続けている方が多いです。

 そうした方々に言いたいのは、嫌だったらすぐに辞めること、逃げ出すことが重要、ということ。私も独立して一応は社長ですが、収入は以前よりだいぶ減りました。未来だって見えていません。

 ただ、大手派遣会社の社員時代は自らも奴隷のように感じていた分、今はずいぶんと気持ちが楽になりましたし、うちの派遣社員さんたちが稼げるようになるためにどうすればよいかと、日々前向きに取り組んでいますから、充足感も高い」

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「我慢の必要性を感じない」

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