スポーツ

大坂なおみの天然スピーチが、全米を魅了した理由


自分の言葉で話すから米国で受け入れられた

 天然キャラ炸裂のインタビューは日本でも話題になった。今年3月、4大大会に次ぐ「プレミア・マンダトリー」に格付けされるBNPパリバ・オープンを勝ったときのチャンピオン・スピーチがそれだ。冒頭、唐突に「ハロー」と口火を切ると、その後、グダグダの挨拶を続け、最後に「何か忘れてないかしら……」と自問自答し、危うくスポンサーへの謝辞を忘れそうになる有様だった。大坂本人は「史上最悪のチャンピオン・スピーチ」と自嘲したが、これが逆に、米国社会で好感を呼んだというから不思議な話と言えよう。米国在住のコラムニストとして活躍し、プリンストン日本語学校高等部で教鞭を執る冷泉彰彦氏が話す。 「米国ではほとんどのプロスポーツ選手がマネジメント会社に所属しており、試合の賞金よりもスポンサー収入に依存しているケースが多いので、インタビューでの受け答えは周到に訓練されている。ところが、大坂選手は世界的マネジメント会社のIMGに所属していながら、すべて自分の言葉で話しているので、品行方正で代わり映えしないスピーチばかり聞いてきたファンには新鮮に映ったわけです。今回も準決勝で、対戦相手に13回もブレイクポイントを与えたもののすべて切り抜けたことについて聞かれると、『悪いことだけど、セリーナとやるときの練習になったかも』と話しウケていました。尊敬するセリーナにメッセージがないか問われると、『アイ・ラブ・ユー』と言って会見場は笑いに包まれたが、取って付けたような言葉なのに、彼女が言うと『偉大な選手へのリスペクトはあるんだな』と解釈される。米国でも日本人の謙虚さは知られており、彼女もそうであると受け止められているようです」  大坂の快進撃を受けて、日本のSNSでも彼女が日本語で答えるインタビューがたびたび話題となったが、やはり、彼女特有のキャラクターが注目されているからだろう。決勝では、セリーナ推しの観客からブーイングを浴びせられる場面もあったが、米国のメディアからも「称賛の嵐」といっていいほど好意的に受け止められているという。冷泉氏が続ける。 「ハイチ系と日本人のハーフというバックグラウンドは、現在の米国でもっともファッショナブルでキュートな存在と言っていい。大坂選手のアイドルでもあり、アフリカ系米国人の父とフランス人の血を引くアメリカ・インディアンの母を持つ歌手のビヨンセが象徴的ですね。だから、大坂選手が日本人として出場していても、身内に近い感覚で見られており声援も多い。加えて、米国の若年層からは褐色の肌に映えるネオンカラーやビビッドな色のテニスウェアが注目を集めたり、プライベートでもヒップホップ系のファッションや髪形がクールだと評判になっている。日本のアニメや漫画などポップカルチャーに親しんでいるので、彼女の天然キャラをオタクや“kawaiiカルチャー”に重ねているところもあると思います。彼女は過去の会見で、突然ポケモンの歌を唄ったり、SNSを通じて日本のアニメや漫画好きとして知られていますから」  果たして、米国人をも魅了したニューヒロインは、今後どこまで強くなるのか? 彼女のキュートでたどたどしい日本語の上達を祈りながら見守りたい。<取材・文/日刊SPA!取材班> ※週刊SPA!9月18・25日合併号「今週の顔」より
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週刊SPA!9/18・25合併号(9/11発売)

表紙の人/中条あやみ

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