つけ麺店開業の秘話に感涙
そもそも、なぜケーキ屋の裏でつけ麺を提供するようになったのだろうか。洋菓子「サブロン」と、つけ麺店「裏サブロン」を経営する山崎博司さんは、高校一年生の時に食べた大勝軒の「
特製もりそば」の味に衝撃を受け、大勝軒のファンになり、いつかこの味を作りたいと思ったとのこと。パティシエとして洋菓子を作りながらもその思いが消えることはなく、大好きな大勝軒の味を自分でも作ろうと独学でつけ麺作りを始めた。
その後、大勝軒創業者でもある山岸氏の元へ赴きアドバイスを請うなどし、大勝軒の味を継承しながらも、食感の良いこだわりの自家製麺などを使用した同店オリジナルのつけ麺を完成させた。山岸氏の元を訪れて直接アドバイスを請う度胸と行動力に、大勝軒の味を作りたかったという本気度が伝わってくる。そんな山崎さんに話を聞いてみた。

『東池袋 大勝軒心の味』
「高校生の時に大勝軒の味に衝撃を受け、以来何度もお店に通い味を覚えました。その後まさか山岸さんに直接教えて頂けるとは夢にも思いませんでしたが(笑)。山岸さんはお子さんがおらず、跡継ぎという意味での後継者がいらっしゃらなかったということもあり、快くレシピを教えてくださいました。山岸さんはお弟子さんもたくさんいらっしゃいますが、お弟子さんには教えていないことまで教えて頂いたんです。とても感謝しています」
つけ麺店としての評価も高い現在の率直な感想と、つけ麺作りへのこだわりを聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「評価してくださることは嬉しいです。ありがとうございます。つけ麺作りに関してですが、それは今も昔も、山岸さんに教えて頂いたことを忠実に守っているだけですよ」
ラーメンの神様である山岸氏と、その味に衝撃を受け自ら大勝軒の味を作ろうと決意した山崎さん。ケーキ屋でつけ麺を提供する裏にこんなエピソードがあったとは。そのヒストリーに胸を打たれた。つけ麺店としても人気を集めているが、つけ麺作りに関してとても謙虚に語ってくれた山崎さん。味だけではなく、この謙虚な姿勢がファンに愛される所以なのだなと感じた。〈取材・文/日刊SPA!取材班〉