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キャリアが長いほど転職は不利に!? 販売員歴15年の男が目の当たりにした現実

販売に逆戻り…退職し、家に引きこもる日々

「本部スタッフの営業部へ配属が決まり、喜び勇んで初出社すると、予想外の辞令が降りたんです」  初出社日に、営業部の新規プロジェクトが発表された。それは、「ピアスの販売」だった。そして行定さんはそこへ配属されることに。つまり本部とは名ばかりで、元の販売員に就かされることになったのだ。 「なぜ医療系の企業がピアスを売るのか、新規プロジェクトの責任者に尋ねると、本社からピアスを販売するように命じられたからだそうです」  転職した会社は、本社が北欧にある子会社で、業務内容に耳たぶに穴をあける医療器具も販売していた。そこで「耳たぶをあけたら、ピアスのニーズがある。ダブルで売れ」という本社からのお達しがあったという。 「その会社は医療器具や医療関係の商品販売の実績はあったが、ピアスを売ったことがない。そこで“アクセサリーなどの貴金属の販売員”という僕の職歴に目を付けたんです。ピアスを売る方法や販売のテクニックを熟知している。それが転職できた理由です」 転職失敗 この会社で営業の仕事に就くことなく、一生ピアスを売り続けることが自分の仕事とわかった途端に、がっくりと気を落としてしまい、翌日から出社拒否。とうとう退職することになった。 「その後、転職活動をする気がなくなってしまいました。前職の販売員としての需要しかないという現実を知ったからです。引きこもって、鬱々とした日々を過ごしています」  人気のある業界や、未経験の職種へ転職できるのは若い内が圧倒的に有利だろう。年齢を重ねれば重ねるほど即戦力を求められる以上、それは仕方のないこと。20歳から販売一筋で働いてきた行定さんには酷な話だが、彼に必要なのは「販売の仕事で活路を見つける」と腹をくくることなのかもしれない。 <取材・文/夏目かをる>
コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪
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