「ある平日の昼時に、僕のスマホに知らない男から電話がかかってきたんですよ。若い声でした。あなたの奥さんが帰ってこないから、ホテル代を払えないというのです。『帰ってこない？　ん、どういうこと？』と頭がこんがらがりましたが、とりあえず指定された場所に行きました」 　ホテルに到着し、まだ大学生と思しき男性に話を聞くと、「あなたの奥さんとホテルに入って、財布を忘れたから職場に戻ると言われて、数時間待っても帰ってこない。逃げられないようにスマホだけ置いていってもらったから、「〇〇(旦那)」と登録してあった番号に掛けた」そうなのだ。 「唖然としましたね。怒りより先に『財布くらい持って来いよ』と（苦笑）。とりあえず金を払い、スマホも返してもらいました。帰宅後、さすがに咎めましたよ。でも妻は、『外回りから会社に戻る途中に気分が悪くなって蹲っていたら、男が助けてくれて、ホテルに連れてきてくれて休んでいた。その後体調も回復し、財布がなかったから取りにいったけど、急な仕事で抜けられなくなったんだ』と嘘をつく」 　小さな子供でも分かりそうな見苦しい言い訳だが、加藤さんは「もう絶対にするなよ。誤解させるようなことも」と話し許した。彼女も「さすがにまずい」と感じたのか、それからは怪しい行動を取ることはなくなる。そしてその後、2人の間に第一子が誕生した。 「出産してからの妻は、子供第一の生活になり、すっかりママの顔になって僕も喜んでいたんですけどね…」 　子供の成長に伴い、現在は冒頭で吐露した「新たな不安」が生じているという。 「子供が2歳になると、妻はまた『働きたい』と言い出したんです。しかも前職のライフプランナーではなく、『歌手になりたい』と…」 　加藤さんはもちろん止めたが、妻の『後悔したくないの！』の言葉に負けた。彼女は現在、歌手になるために養成所に通っているようだ。 「なにが不安って、芸能の世界には誘惑がいっぱいある。そこそこ顔のいい若い男もうじゃうじゃいるだろうし、また前みたいなことになっちゃうんじゃないか」 　既に子供がおり、前回のようなことがあれば、それは2人だけの問題で済む話ではない。再び妻の浮気の虫が暴れないように、加藤さんは次の一手を考えているそうだ。＜取材・文／夏目かをる＞コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛＆婚活＆結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆～恋、のような気分で♪」