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ネット売買が当たり前の今、なぜか生き残り続ける東京最古の質屋

質屋は貧乏人の味方だった

 力士の他にも、質屋は落語家も救っている。ある時、貧乏な落語家が質屋の前の道端に座って小噺をいくつか演った。この落語家には金がないんだと知った店主は、その噺を質草として買い取るといって、落語家にお金を渡してやったのだという。かの名人古今亭志ん生も、大成する前は質屋にいつも出入りしていた。地方の興行先でお金が尽きると、大切な幟(のぼり)を質に入れて宿代にしたという話まで残っている。質屋という救済システムは、日本の文化まで支えているのだ。

顔の見えない売り買いより信頼を

質屋

写真はイメージです

 フリマアプリやネットオークションの登場で、誰でも自分のものを売ったり、欲しいものを安く手に入れられるようになった。しかし顔が見えないやりとりは、単純に損得だけが往来する冷たくドライなやりとりになってしまう。一方で質屋は、対面でなければ買い取らない。「家族が病気になって、急にお金が必要で…」と人生相談が始まることもあるのだそうだ。  そこから会話が生まれ、信頼関係が築かれる。顔が見えて信頼できる相手とのやりとり。さらに質屋は、着物から家電製品、貴金属やブランド品、最近では目まぐるしく進化するIT製品まで、時代と共にその目利きの技術を広げている。  どこの誰かわからない人が売っている、真贋のわからないものより、会話ができてあらゆる目利きの技術がある質屋。今こそもう一度見直すべき時ではないかと感じた。 <取材・文・撮影//Mr.tsubaking> Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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