安田雅也さん（仮名・32歳）は、2年程前から映画鑑賞の楽しさに目覚めて、観た映画の感想をインスタにアップすることが習慣になっていた。 「フォロワーは少ないんですが、誰かに読んでもらおうと思って感想を書くと……より内容が整理されて、自分がどう感じたのか明確になるのが気持ちいいんですよね」 　映画鑑賞後に内容を反芻しながら感想を書いていると、仕事のストレスも忘れてしまうのだとか。 「毎回、“#映画好きな人と繋がりたい”というハッシュタグをつけていたら、これを通じてある女性が、いいね！をしてくれるようになって……」 　その女性はヒーローものやアクション映画の感想にばかりいいね！をしてくれた。次第に、安田さんの映画選びも彼女好みに偏っていったという。 「それというのも彼女のアカウントを見てみたら、自撮り写真がアップされていて……フリーアナウンサーの宇垣美里似でめちゃくちゃ美人だったんですよ。それでつい気になってしまって」 　そんなある日、安田さんが、話題の映画について「今から新宿で観ます〜！」とポスターの写真と共にインスタにアップしてみると……。 「例の彼女が『え～、私も新宿でこれから観るんですよ！』とコメントしてきたので、もしかして同じ映画館にいるかも？ と探してみたら……本当にいたんですよ。宇垣美里似の美人が」 　思い切って声をかけてみると、彼女はとても驚いていたそう。 「すぐ映画が始まる時間だったので、挨拶程度でお互いの席に戻ったのですが、映画が終わって出口に向かう途中に彼女が待っていてくれてドキッとしましたね」 　そのまま2人で食事に行き、映画の感想を語り合い楽しい時間を過ごしたのだとか。 「LINEの交換もして、それから毎日のように映画の話や、お互いのことを質問しあったりしました。そして、次の映画デートの時に僕が焦って告白したんですよ（笑）」 　彼女から「まだ会うの2度目なのに？」と驚かれたが、実は彼女も安田さんとの出会いに、運命のようなものを感じたらしく……。 「なんとOKしてもらえたんですよ！ まさかこんなことになるなんて。本当にインスタには感謝していますよ。これからは彼女と一緒に映画をいっぱい観たいと思います」 　しばらく彼女がいなくて出会いがないのなら……趣味をSNSで発信してみるのはいかがだろうか。 　今回のエピソードに登場した映画に限らず、SNSには「#（自分の趣味）好きと繋がりたい」というハッシュタグは数多く存在している。もしかしたら、気の合う女性の方から近づいてきてくれるかも？＜取材・文・イラスト／鈴木詩子＞漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』（青林工藝舎）が映画化。