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「中年会社員は“笑いのカツアゲ”が多い」元お笑い芸人が指摘する組織の問題点

 働く人にとって“コミュ力”は非常に重要なスキルのひとつ。取引先や上司、部下など様々な関係性のなかで生じるコミュニケーション上の課題に悩む人や企業も多いだろう。  そんななか、「“笑い”の力がビジネスに欠かせないコミュニケーションや組織の問題を解決するための一助となる」と提唱するのは、『「ウケる」は最強のビジネススキルである。』(日本経済新聞出版社)の著者であり、かつて浅井企画に所属するお笑い芸人だった中北朋宏氏。今回は、中北氏にビジネスシーンで“ウケる”極意を伝授してもらった。
中北朋宏

元お笑い芸人で現在は『株式会社 俺』代表取締役社長の中北朋宏氏

中年会社員がやりがちな問題行動「笑いのカツアゲが多い」

 中北氏はお笑い芸人として6年間活動後、人事系コンサルティング会社の営業職へ転職。芸人時代に培った笑いのノウハウを実践し、営業成績No.1を達成したという異色の経歴の持ち主だ。  2018年2月に『株式会社 俺』を起業して独立した現在は、笑いの力で組織を変える「コメディケーション」(コメディとコミュニケーションを掛け合わせた造語)を提案し、人材研修などのコンサルティングを展開している。  これまでに220社を超える企業のコンサルティングを手がけてきたそうだが、その背景には従来のトップダウン型のマネジメントへの問題意識の高まりなどがあるという。 人間関係「相談依頼は大手から中小まで業界も多種多様です。ティール組織や1on1といったマネジメントが注目されていますが、グーグルがチーム生産性を上げる方法として提唱した心理的安全性を担保する(※不安などを感じることなく自然体の自分をさらけ出せる)職場づくりに、お笑いはすごく紐づいているんです。一人一人の短所も含めた個性や自分らしさを引き出して活かすのがお笑いなので」  様々な職場をその目で見てきた中北氏は、中年男性などが陥りがちな“コメディケーション”上の問題、笑いのメカニズムについてこう解説する。 「一番多いのは“笑いのカツアゲ”です。『今笑うところだぞ』って言って、周りが必死で笑うという悲惨な状況がよく見られます。フリがないのにオチを言っても、そこが笑いのポイントだとみんなに気づいてもらえません。フリとオチは必ずセットで使います。フリとオチをわかりやすく言い換えると、フリ=共通認識、オチ=裏切り。再現性を持って笑いをとるためには、笑いが生まれるメカニズムを理解する必要があります。  具体的には、物事の共通認識である中心から“少しずつズラしていく”ことがポイントです。面白そうなことを言っているのに全然ウケない人には、ズラし方と表現の順番という2つの問題があります。例えば『小学生の好きな食べ物なんですか?』というお題に対して、『ハンバーグ』『カレー』という中心がわからない限りズラせないし、いきなり中心から大きくズラしすぎた『確定申告です』などと答えてしまうと、周りは理解できずボケがうまく伝わりません」 ===== 『笑いのメカニズム』 Q.小学生の好きな食べ物はなんですか? A.ハンバーグです(中心=共通認識) ↓ A.ホッケです(中心から少し「ズラす」=ボケるという行為、笑いが起きる) ↓ A.確定申告です(中心から大きくズレている=ボケすぎていきなりでは伝わらない。間に小さなボケを挟む必要がある) ===== 笑いのメカニズム
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若い頃の感覚を部下に押し付けがち
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「ウケる」は最強のビジネススキルである。
上司と部下が本音で話をしない、若手の社員がすぐに会社を辞めてしまう、営業先で面白い話ができない……。仕事の悩みを「笑い」で解決するためのノウハウがつまった一冊。
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