更新日:2023年04月27日 10:11
エンタメ

“全員デブのテラスハウス”…番組が問いかける「肥満の自分を愛するべきか」

「精神の怠惰をあらわす太鼓腹」と書いた三島由紀夫

 かつて、三島由紀夫は次のように喝破した。 <私はもともと、精神の怠惰をあらわす太鼓腹や、精神の過度発達をあらわす肋のあらわれた薄い胸などの肉体的個性を、はなはだ醜いものと考えていたが、それらの肉体的個性を自ら愛している人々があるのを知って、おどろかずにはいられなかった。それは精神の恥部を肉体にさらけ出している無恥厚顔な振舞というふうに思いなされた。このようなナルシシスムこそ、私がゆるすことのできない唯一のナルシシスムなのであった。> (「太陽と鉄」 佐藤秀明編『三島由紀夫スポーツ論集』所収 岩波文庫 p.208)
三島由紀夫

虚弱な肉体コンプレックスを克服するために、体を鍛え上げた三島(『三島由紀夫の肉体』山内由紀人著、河出書房新社)

 お気楽なリアリティーショーの形式を取りながら、さらっと人間の真理を突きつける『Who Are You Calling Fat?』。問題への根本的な解決方法は、効果的な政策でも大がかりな人権運動でもないことを視聴者に考えさせる番組作りは、さすがにBBCだ。 <文/石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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