更新日:2023年05月07日 13:59
仕事

初めての副業、趣味で稼ぎ続けるために必要な“時給の意識”

趣味で稼ぎ続けるために必要な“時給の意識”

 もちろん趣味は趣味で仲間と楽しめればいいという人も多いだろうが、少なくとも「趣味起業」を成功させたいなら、利益の出る体制をしっかり考えることも重要。ただ、自分の商品やサービスの値段を決めるのは案外難しい。戸田氏のもとに相談に訪れる人も「めちゃくちゃな値段」をつけてくることが多いという。 「『めちゃくちゃ』というのは、要は安すぎるんです。客寄せというハードルを乗り越えせっかく売れても、価格設定を間違ったままだと疲れるだけで全然お金が残らないということになりかねません。『みんなこれくらいだし、自分のレベルではこれ以上もらうとダメな気がする』という決め方はNGで、大事なのは自分の時給を自覚すること。  例えば、レザークラフトで鞄を売ろうというとき、ひとつ作るのに20時間かかるものを1万円で販売するのは、普通に考えると割に合わないですから。ハンドメイド系の趣味起業に限らず、自分の労力が時給と見合っているか意識することは、趣味起業を長期的に継続させるためにも大切です」

趣味のレザークラフトが自然発生的に副業になった小林正直さん

小林さんが作成した作品

 とはいえ、素直に時給で計算して相場よりも割高な値段を設定するというのは、かなり勇気がいる。 「100億円の月旅行と100g1000円の高級牛肉、どちらの価値がより高いのか比較が難しいように、違う商品の価値は価格で比べられにくい。情報不足だとどうしても類似商品と値段で比較されるので、自分のサービスや商品がどれだけ時間をかけてこだわったものなのか、たくさん情報を公開して付加価値を上げましょう。“ぼったくる”わけではなく、その価値をしっかりアピールし、差別化した上でお客さんに高いか安いか決めてもらうということです」  さらに次のステージではリピーター化を図り、安定収入を得やすい仕組みを商品やサービスの展開できれば理想的だ。 「最初、私は手作りのスペイン語教材を副業で販売して結構売れていたんですが、語学教材はリピートされにくい商材です。新しい教材を作ってもスペイン語の教材を同じ人が何個も買うとは考えにくいし、単発売りなので毎月の売上も波があります。  そこで、月3000円の会費でスペイン語の動画や音声など毎月中身が変わるオリジナルコンテンツを楽しめる会員用ウェブサイトを展開し、安定収入につなげていきました。教室やリアルイベントと違い通信講座やオンラインサロンはキャパに制限がないのも魅力です」  オンラインサロンもリピート商品・安定収入の代表だが、ジャンルによって成り立たないこともある。マネタイズの手段はそれ程多いわけではないので、すでに成功している人を参考にするのも有効だ。 「ハンドメイド系の趣味起業でも製作・販売から教室や通信講座を開き、教える方にシフトしていくケースも多いですね。カウンセリング系なら1年足らずで月100万、200万円稼げるようになる人もいますが、月5万円でいい人、趣味起業一本で独立できるくらい稼ぎたい人など目指すところはさまざま。私がアドバイスする際に最も重視しているのは、まずはその人が楽しくできているか。そして、収入がきちんと上がって安定していくことを目指しています」  SNSでの集客など超えるべきハードルはそれなりにあるが、楽しく工夫を重ねていけるのが趣味起業の強み。金銭的メリットだけでなく、やりがいも大きい。 <取材・文/伊藤綾 取材協力/副業アカデミー>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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