仕事

生徒の親との「LINE交換」に悩む教師たち。24時間、既読スルーは許されない

LINEをやっていない親から「ひいきしている」とクレーム

line 神奈川県内の公立中学校教諭・杉山陽子さん(仮名・30代)が訴える。 「ある親御さんからLINE交換しましょうと言われ、いつの間にか何人かのグループが作られていました。正直面倒だとは思いましたが、おかげで親御さんとも色々なコミュニケーションが取れていい面もあった。ところがある日、教頭から呼ばれて『先生が親御さんをひいきしている』と、グループに入っていない親御さんから指摘があったと指導されました。  まったくそんな意図はなかったのですが、中にはLINEを使っていない親御さんもいるらしく。結局、親御さんと教諭がLINEでやりとりすることが禁止になりましたが、クラスの親御さん同士で相当険悪になったとか……」(杉山さん) 親 一部の学校では校長や教頭名義で、教師と親がLINEなどでやりとりすることを禁じているともいう。あまりに円滑すぎるコミュニケーションのおかげで、現場が疲弊したり、これまで存在し得なかったようなトラブルが起きているからである。教師と親の距離が近いことは、ある意味よい点と同時に弊害も多い、というわけだ。  「近すぎるぶんには越したことはないが……」と話すのは前出の坂本先生。日曜に担当する部活の試合から帰ってきて、自宅でゆっくりしようとしているとピコーンとスマホがなる。 「部活のパパさんママさんたちから、祝勝会のお誘いです。私を労ってくれていることは十分に理解していますし、気持ちは嬉しい。親御さんたちのバックアップも助かるし、励みになる。ただ、やはり誘われると断れません」(坂本さん)  LINEで誘われても「今日は無理なんですー」と遠慮なく断り、それでも親と良好な関係を保っている先輩教師もいる。しかし、誰もが世渡り上手では当然ない。コミュニケーションの形がガラリと変わり、学校の先生たちも現場で翻弄されているのだ。<取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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