新橋SL広場で見た、フラガールたちの涙
3月11日、筆者はスパリゾートハワイアンズ(以下、ハワイアンズ)で被災した。それから、東京に帰るまでの3日間で出合ったいくつもの“奇跡”を記した手記は、小誌および小誌ウェブサイトにて掲載され、予想を超える大きな反響を呼んだ。あれから約200日経った10月3日、スパリゾートハワイアンズ営業再開の一報を聞いた筆者は、あの日泊まることができなかったハワイアンズに宿泊させてもらうこととなった。そこで見た”奇跡”の正体とは?
◆新橋SL広場で見た、フラガールたちの涙
フラガール。蒼井優主演で話題となった映画『フラガール』でも知られているハワイアンズの代名詞的存在と言えるダンサー集団である。普段はプール施設に併設された舞台でダンスを披露しているのだが、現在は改修中のため、施設内に特設ステージを作り、そこに舞台を移している。筆者は3月11日、わずか滞在1時間で被災しているため、フラガールを見ていない。筆者が、初めてフラガールを見たのは、東京・新橋駅前のSL広場であった。
4月13日、ハワイアンズのOG主体のダンスチームが新橋のSL広場に来ていた。その情報を聞きつけ筆者は現地へ向かった。その日、SL広場ではいわき市の物産展が行われており、ステージイベントの一つとして、彼女たちが登場したのだ。歌手の照屋実穂が、映画『フラガール』の主題歌「フラガール~虹~」を歌いあげ、それに合わせてダンスを踊る。満面の笑みで。不覚にも、筆者はそれを見て、涙を流してしまった。まさか、あのとき見られなかったフラガールを、こんな形で見ることになるとは……。そして、彼女たちもダンスを終えた後、裏で泣いていた。彼女たちも、まさかこんなところで踊ることになるとは、思ってもみなかったのだろう。震災からわずか1か月。まだ日が浅く、傷は深かった。
そして、10月3日、ようやくあるべき場所でダンスを踊るフラガールを目にすることができた。ライティングを駆使し、生演奏で踊る、美しいフラガールたち。真っ赤に目を腫らしながら、華やかでダンスに拍手を送る筆者は、周囲の観客には奇異に映ったことだろう。
― 福島「スパリゾートハワイアンズ」復活の軌跡【2】 ―
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