「死んじゃうから家に帰して」その言葉に胸が詰まりました
震災により自らも甚大な被害をうけながら、利用客の帰宅を最優先に行動した福島「スパリゾートハワイアンズ」の従業員たち。そんな彼らに当時の状況を語ってもらった
根本紀代子さん ●フロント
前代未聞の災害となれば、人がパニックに陥るのは当然だ。ハワイアンズの宿泊客も例外ではない。震災時、混乱した宿泊客からの不平や不満を一手に引き受けたのが、フロント勤務の根本紀代子さんだった。
「『どうして今すぐ帰れないんだ』『今後どうなるんだ』という今後の不安から、『食事が毎回一緒で飽きた』などとお叱りを受けることも。『今日中に家に帰れないと、手持ちの薬がなくなって死んでしまう』と、70代の女性のお客様に嘆願されたときは、さすがに胸が詰まりましたね……」
眠る間も食事をする間もないほどの宿泊客たちからの質問攻めにも、真摯に対応し続けた根本さん。その経験を通じて、より接客が好きになったという。
「休館の間、『接客をしないことがこんなにつらいものなのか』と、愕然としました。また、新たな機会をいただいたことに、お客様に感謝したいです」
― 福島「スパリゾートハワイアンズ」復活の軌跡【6】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ