免疫力を高める「亜鉛」をラクに採るには?中年男性には必須
「熟年期障害」という言葉を知っているだろうか。50代の働き盛りを終え、60代に入ってとたん(人によっては50代から)、ガソリンが切れたかのように、何事にも興味がなくなってしまう。老化の一途をたどり、記憶力、やる気の低下、不眠、筋力が低下し、認知症やがんなどの重篤な病気を引き起こす「熟年期」特有の病いである。
その「熟年期障害」の専門家である新宿医師会会長、平澤精一氏は「50代の働き盛りの男性は、亜鉛を取らないと熟年期障害なる」と警鐘を鳴らす。
亜鉛というと昔は、「精力のために!」というのが定説。健康のために亜鉛を取ろうという方はまだまだ少ないのではないか。しかし、亜鉛こそが50代以上の男性にとって、健康も仕事も、長生きも(もちろん精力も)すべてに有用なミネラルだったのである。最新刊『亜鉛チャージ健康法』を上梓した平澤医師によれば、亜鉛の代表的な効果は、精力増強ではなく、免疫の強化にあるという(以下より、平澤医師による解説)。
亜鉛は体内に微量しか存在しないミネラルだが、細胞の新陳代謝に必須であり、特に免疫細胞の働きを助けるという重要な役割を持っている。
逆に言えば、亜鉛がなければ免疫は下がり、細胞の新陳代謝が促されないことになる。身体も疲れてきた50代、そろそろさまざまな病気が気になり始めるときだ。他にも骨を強くする、動脈硬化を防ぐ、筋肉、血管、内臓を若々しく保つのにも亜鉛が必須ということが分かってきた。さまざまな健康法があり、身体によいとされる食物、栄養素はあるが、亜鉛は生命の維持、健康の保持に欠かせないミネラルだったのだ。
また、男性が亜鉛不足になると、男性ホルモンである「テストステロン」が低下する。
テストステロンが低下すると、やる気や冒険心、気力が下がり、(興奮しなくなる)パフォーマンスは下がり続ける。50代、何かやる気が出ないと思ったら、亜鉛不足が原因で、やる気のもと、テストステロンが不足していると思ったほうがいいだろう。
中には、どこの病院で診察してもわからなかった体調不良が、実は男性更年期障害だったというケースがある。男性更年期障害とは、男性ホルモン「テストステロン」の急激な低下で起こる障害。
この障害のつらいところは、脳にも影響を与えるため、イライラや不安、憂うつなど、精神的な影響をもたらす点だ。男性の場合、50代からの亜鉛不足で男性更年期障害、そして重篤な病気の原因であり、寝たきりの原因にもなる「熟年期障害」へ一直線。なんてことも起きかねない。
男性更年期障害の方で、亜鉛とテストステロンを補充することで、何年もの間、まるでひどい二日酔いのような倦怠感に悩まされていたのが、一気に解消したという例もある(以上、平澤医師)。
なお、亜鉛は牡蠣に豊富(5粒で亜鉛7.9mg)だが、毎日食べるわけにはいかない。そこで長い研究の結果として前出の『亜鉛チャージ健康法』では、手軽で続けやすい亜鉛の取り方が提唱されている(平澤医師と管理栄養士・岸村康代さんによる)。
どのレシピもカンタンだが、
①卵かけご飯(卵1個に含まれる亜鉛は0.78mg。さらに「もち麦」にすると、白米の2.8倍の亜鉛が採れる)
②煮干し粉を入れた亜鉛チャージみそ汁(煮干し100gに含まれる亜鉛は7.2mg)
の定食が、亜鉛が取れる上、バランスのよい食事だという。
亜鉛チャージみそ汁(2人分)は、水400mlに煮干し粉(小さじ2)を入れて火にかけ、それを出汁にみそ汁を作るだけ(マイルドにするために、沸騰したら日本酒大さじ1を入れてもOK)。
ぜひ、50代の男性は今後も長く働き、健康でいるためにも亜鉛を取っていただきたいと思う。
【平澤精一医師】
日本医科大学付属病院、三井記念病院などの勤務を経て、1992年に「マイシティクリニック」を開業。テストステロンの研究者として「熟年期障害」の治療に取り組む。最新刊『亜鉛チャージ健康法』
「亜鉛」は、健康、仕事、長生き、すべてに高い効果が
身近な食材のカンタンレシピで「亜鉛チャージ」
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