街の銭湯が提供する「モーニング」がすごい
「朝活」は流行ではなく文化になりつつある。学校や仕事の前に、少し早めに起きて趣味や勉強、運動などに時間を使ったりする人も多い。しかし、それだと仕事中に眠くなったりするので、休日に早起きをしてちょっといいモーニングを食べに出かけたりする人もいるようだ。
「朝活 東京」などと検索すると、朝活向けのゆったりしていてシャレたモーニングの店を取り上げたまとめサイトも多くヒットする。しかし今回紹介するのは、そんなちょっとラグジュアリーなモーニングではなく、銭湯で食べられるモーニングだ。
銭湯のモーニングだからと侮ってはいけない。バタートーストにサラダ、半熟玉子にフルーツが並ぶ。そこに野菜ジュースとコーヒーまでついてくるのだ。しかも味へのこだわりもすごい。サクサクフワフワに焼かれたトーストや、絶妙にかた茹でしてパセリをまぶした半熟玉子も美味しいが、この日はサラダが特別だった。トマトが生ではなく、ワインとハチミツとオリーブオイルでサッと炒められていて、酸味と風味のバランスが素晴らしい。
このモーニングが食べられるのは、カフェでもレストランでもない。北区王子にある「金星湯」という、なんと銭湯だ。ここでは日曜日に限って、朝8時から正午までの朝湯営業をしていて、前述のモーニングはそこで食べることができる。(料金は入浴料470円(大人)+モーニング500円)
入店時、モーニングを頼むと「お風呂が先かご飯が先か」と、新婚のようなことを聞かれる。常連の多くは先に風呂に入るので、それに倣うのがよいだろう。金星湯は、地元に根付いた銭湯。脱衣所や浴場では常連のオジさんやおじいさんが、世間話をしながら楽しそうに入っている。朝のキラキラした陽光が差し込み、夜に入るよりも朝風呂はサッパリ感が心地いい。開業から50年を超える歴史を持つため、設備自体は古いが清掃が行き届いているので、古さも「味」になっている。
さっぱりしたところで風呂からあがると、店主が件(くだん)のモーニングを用意してくれる。広くはないロビーに5~6人の地元の方々が座って、朝飯を食べながら談笑している。SNS映えさせるような気はつかわなくてよい、程よく弛緩した空間がとても心地よい。大きなワインクーラーがあったり缶ビールも販売されていたりするので、朝から風呂に入って一杯はじめている幸せ者もいる。
銭湯でモーニング

洒落ずに朝活

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Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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