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回転寿司で 「大将、とびっきりのネタ握ってよ」を言ってみた

【対店員編】 回転寿司屋で言った 「大将、とびっきりのネタを握ってよ」 「大将、コレどこ産?」  暖簾をさっとくぐって熱めのあがりでひと息つくと、「へい、らっしゃい。今日は何を握りやしょう」とくる。そこで「大将、とびっきりのネタ握ってよ!」なんてドラマのシーン、見たことあるようなないような。  ということで、本誌記者Tが、いなせな寿司屋ではなく、あえて回転寿司屋でチャレンジ!  訪れたのは閉店迫る21時。先客はカップルなど数組で、真ん中で寿司を握っているのは、20歳前後の小僧である。この時点で想定とだいぶ違うが、めげずに例のひと言にトライだ。
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「大将、とびっきりのネタ握ってよ!」  店内の室温が5℃ほど下がっただろうか。聞き流すようにカップル客と談笑する小僧。このまま放置プレイされるわけにもいかないので、「大将、あがりとむらさき頂戴!」と気をひく作戦に出た。ようやく自分に気づくと、怪訝そうな顔をしながら前にやってくる。「両方、お客さんの目の前にありますけど」。……ひと言で軽くあしらわれたのを見かねてか、奥にいた初老の板前が「今日のオススメは、ヒラメですよ」と声を掛けてくれると、その横から「真鯛もオススメっすね!」とすかさず顔をのぞかせる小僧。だが、視線に違和感を感じ、その先を辿ると「オススメ真鯛」と書かれた黒板が。  まあ、ヒラメは普通に旨く、折れた心も回復し、次なるセリフ「大将、コレどこ産?」にチャレンジ! すると、小僧の視線が再び宙を泳ぎ「え~っと、九州産っすね」。視線の先にはやはり黒板が。ここまで来たら、こっちもキャラを貫き通すしかない。腹も満たされたことだし、半ばやけでとどめの言葉「大将、つけといて!」を敢行する。言い放った瞬間、カイジばりにざわつく店内。カップル客のニヤニヤとした視線が突き刺さる。しばしの沈黙の後、かわいそうな人を見るような目をして、「お客さん、ウチではそういうサービスはちょっとやってないんですよ~」とレジへ誘う小僧。だろうな! 俺も知ってた! 勘定を済ませ逃げるように飛び出すと、いつの間にか外はみぞれ交じりの雨。江戸っ子への道は険しい。 イラスト/清野とおる ― 「(恥)セリフ」マジで言ったらこうなった!【1】 ―
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