「被曝者は、放射化して放射線を発している!」の真偽

 震災発生から2か月半が経過した今も、福島第一原発の事故は終息の気配を見せず、予断を許さない状況が続いている。原発周辺や福島県の人たちにとっては、まだまだ苦しい日々が続きそうだ。

 だが、その一方で、付近住民ではない人々の間で、放射線被曝に関する議論が活発化している。

 とりわけ、危険性を主張する人の声は大きく、口づての噂やチェーンメールやツイッターで“放射線以上の拡散”を見せている。

 実際にどのような主張が流布しているのであろうか? その具体例を挙げると同時に、専門家の視点で解説してもらおう。

◆主張その3 「被曝者は、放射化して放射線を発している!」

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危険を喧伝する声はチェーンメールなどによって拡散していく。ネットの質問サイトに寄せられた「人体放射化」を心配する声。幸い、まともな回答がなされていた。「誘導放射能」についても、少し検索すれば科学的な説明を見つけることも容易なのだが……

「確かに、中性子が物質の原子核に吸収されて、その物質が放射線を発する物質に変化することがあり、これを放射化、あるいは誘導放射能と呼んでいます。人体が放射化することもあり、東海村の臨界事故では被曝者の体内のナトリウムが放射化していたため、中性子線被曝だと判断できました。ただ、中性子線は核分裂が起きないと発生しないし、放射性ヨウ素やセシウムによるγ線では放射化は起こらないので、今回の事故で中性子線被曝をすることはありません。ですから、人間が放射化しているというのは全くのデマ。もちろん、ヒト以外の物質が放射化することもあり得ません」(放射線影響研究所・中村典主任研究員)

「人間も多量の中性子線やα線を浴びれば放射化することはあり得る。しかし、その場合は放射化以前に急性症状が出てそれどころではない。一般に街で暮らしている人が放射化するということは断じてあり得ない」(出光氏)

◆主張その4 「被曝の影響で障害児が続々と生まれる!」

「広島・長崎の被爆者の場合、二世の追跡調査(親の平均被爆線量は400mSv)によって遺伝的影響が出たというデータはありません。小児がん患者で放射線による治療を受けた元患者の中には、数千mSvもの放射線を精子や卵巣に受けた人もいますが、その人たちの子供にも遺伝的影響は見られていません。ムラサキツユクサを原発付近に植えたら影響が出たという実験結果を主張する学者もいますが、同様の追試実験をしても影響は認められませんでした」(中村氏)

― 放射能より[放射能議論]のほうが恐ろしい【2】 ―

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