新型コロナ、保育園や託児所に子どもを預ける親に思わぬ風評被害が…
3月25日夜、小池百合子都知事が異例の会見を行い「感染爆発の重大局面」として週末の外出を控えるよう要請した。続いて、各都道府県知事からも外出の自粛要請が出た。これまではテレワーク(リモート勤務)“可能”と言いながらも実質的には出社している社員が多かった企業も少なくなかったが、今回の会見を受け、上司から大慌てでテレワーク(リモート勤務)“徹底”の通達が来た、という声もチラホラ。
いま、どこでだれが感染してもおかしくない状況だろうが、重症化しやすいのは高齢者で、子どもや若者には症状が出ず、無自覚の場合もあると言われている。そのため、知らぬ間に高齢者に移してしまわないか……。懸念の声もある。
そんななかでも病院や福祉施設、保育園などは人々のために稼働し続けているが、小さな子どもを抱えながら働く親のなかには、嫌な思いをしたという人も。
3月中旬、関東某所の病院に勤務する医療事務・原田ゆき子さん(38歳・仮名)は、院長から思わぬ形で出勤自粛を求められた。
「あなたのところは小さな子どもがいるから……」
気温変動が激しかったこともあり風邪の症状を訴える患者が多く、さらには全世界を巻き込んだ「コロナショック」の余波もあり、病院では常に人手が足りない状態。一般企業などでは、感染拡大を防ぐためにリモート勤務などの措置が取られているものの、原田さんには解せない。直属の上司に問いただしたところ、帰ってきた答えは耳を疑うものだった。
「じつは、私には保育園の年長の子どもがいます。保育園は休園になっていないため、毎朝出勤前に子どもを預けてくるのですが、小さな子どもの集まる保育園にはコロナウイルスが蔓延してるんじゃないか、若い人はいいが、そのウイルスを高齢者が多い病院に持ってこられては困る、と院長や副院長が話していたようで」(原田さん、以下同)
実際、コロナウイルス感染者の多くが中高年で、重症化し死亡する患者のほとんどが高齢者である。つまり、子どもはかかっても大したことないが、高齢者に伝染したら困る、子どもの母親である原田さんの出勤も自粛せよ、という通達だったのである。
「子どもをバイ菌扱いされたようで不愉快です。そもそも医療従事者として、一般の方以上に衛生には気を使っている。さらに、仕事を休んでも休業補償は『考えていない』というんです。旦那に話すと想像以上にキレて、病院に電話をしたんです」
平謝りの院長は、そうした措置を「患者からのクレーム」によるものと説明。入院、通院患者の高齢者から、若い子どもがいる職員を出勤させるな、という声が上がったのだとか。
医療従事者として懸命に患者につくしてきたが、患者にも職場にも不信感を抱かざるを得なくなった原田さん。現在も勤務しているというが、居心地が悪くなり、すでに転職を考えているほどだという。同様の例は他にもある。
「あなたのところは小さな子どもがいるから……」
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新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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