【放射性計測報道】信頼性が高い雑誌は?

政府や東電発表が信頼性に欠けると判断する人が増え、ますます需要が高まっている放射線の自主計測。メディアも、独自の計測記事を掲載しているが、その数値が“煽らない派”と“煽り派”で大きな隔たりがある。いったいなぜこんなことになったのか? その背景を探った!  まず、週刊誌によって掲載される数値が大きく異なるのは、測定方法を誤っていたり、線量計をきちんと校正していないことに原因があるのは前項でお伝えしたとおり。では、一体どの雑誌が最も正確な数値に近いのかを見極める方法はないのだろうか?大阪大学サイバーメディアセンターの菊池誠教授は「正直、難しい」と言う。 「どんな線量計を使って、どのようにして測って分析したのかが書かれていない記事は判断のしようがない。しかしながら、ホットスポットがあるのは事実なので、高い数値が出ているから誤りと決めつけるわけにもいきません。ただ、雑誌が独自に測ったという記事には測定方法がおかしくて高い数値が出ていると疑われるものも確かに多い。その点で言えば、どうやって測定したかが詳細に書かれているものは、“誠実”であるとは言えます」  各誌とも数値を伝えたい思いが先行しすぎるのであろうか? 科学的かつ客観的に検証するために不可欠な、計測の背景に関する記述が不足しているのだ。 「線量が高い場所だけではなく低い場所も含めてしっかり掲載しているものは信用していいかもしれません。『週刊朝日』は、共産党都議団の測定値を引用し、細かいポイントまで詳細なデータを掲載している。これはいいと思います。逆に、写真を使って『ここがホットスポットだ』とやっているだけの記事は、信用できないとまでは言いませんが、微妙なところです。異常な数値が出たら、もっと詳細に検証するのがサイエンスの基本ですからね」(小波教授) 「専門家による指導や検証がない記事は信用しづらいところ。専門家の指導がないと、『週刊現代』のように、ガイガーカウンターを直接草の上に置くという基本的な誤りをしてしまいます。直置きすると放射性物質がガイガーに付着してしまうから、ビニール袋などで包むのは基本です。また、β線を遮蔽できていないと意味のない大きな数値が出ます」(菊池教授)  確かに、ホットスポットだけを取り上げて、“関東に放射能が蔓延”という強引な論理展開をしたり、最高値ばかりをことさら強調したのでは、センセーショナリズム一辺倒と思われても致し方ないかもしれない。一方、その『週刊現代』を意識する『週刊ポスト』はどうなのだろうか? 「『週刊ポスト』は、専門家の指導を受けて、ガイガーカウンターではなく、シンチレーション式のサーベイメーターで計測しています。γ線の空間線量を計測するならこれは正しい判断。測定器の種類や計測のしかたも書かれているので、信頼性は高い印象ですね」(同) ◆自分で計測して、判断の基準にするのも○  ガイガーカウンターの使用法は意外に難しい。煽ったり騙すつもりはなくとも、誤った測定方法をしてしまうこともあるのだ。 「放射線のように、影響が不確定なものは、いくら基準値があっても最終的には自分が判断するしかない。放射線量や、ガイガーカウンターなどの測定器は、そのための材料なんです。だから、それで安心できたり、避難などの判断ができるようにするために、自分自身で計測するのもいいと思いますよ」(小波教授)  今、最も大切なのは、冷静になること。メディアの報じる放射線量に疑問を感じたら、正しい測定方法を学んだ上で、自分自身で測定し、判断の材料にしてみてはいかがだろうか? ― 放射能[ガイガーカウンター測定報道]のウソ【2】 ―
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